無限の階調を操る
画像処理とは、そのままでは判別できない(または判別しにくい)、画像に含まれるさまざまな情報を、目に見えるものに変化させる作業です。あるときは、より美しく、またあるときはくっきりというように、目的によって画像処理は変わってきます。
コンピュータの画面はRGB(赤・緑・青)各8ビット、つまり2の8乗=256階調です。3色で24ビット、約1600万色を表示できます。これは人間の目で判別できる色の数とほぼ同じものです。一般の画像処理ソフトは、この階調の範囲内で画像処理を行い、画像の階調は(256段階に)整数化して管理されます。
しかし、デジタルカメラや冷却CCDカメラで撮影した元のデータは1色あたり12ビット以上と、256階調をはるかに超える膨大な階調(情報)が含まれています。そういう素材を一般の画像処理ソフトで処理すると、素材を画像処理ソフトに取り込んだ段階で256階調に変換され、さらに整数化によって、本来素材に含まれていた膨大な情報が失われてしまいます。
また256階調の整数で処理した場合、結果も整数になります。たとえば1.4は1、1.5なら2と、小数点以下の計算結果を四捨五入してしまうため、最初は256段階の情報が含まれていた画像も、処理を進める内に徐々に階調が減っていきます。つまり階調に差があったものも、同じものになってしまいます。たとえばレベル調整を数回繰り返すだけで、貴重な階調情報を失ってしまうのです。
ステライメージには96ビットスーパーカラー処理エンジンが搭載されています。これは1色あたり32ビット、数字にして約43億もの階調を処理できることを意味します。さらに、この43億という階調数を、整数だけでなく小数にも割り振れるのがポイントです。
画像処理や管理を実数で行い、事実上無限の階調を扱うことができるため、素材の情報を全部取り込んで、失うことなく処理することが可能です。とくに天体画像のように淡い(階調が少ない)情報を含んだ画像を処理する際に、この整数処理と実数処理の差は、結果的に大きな差となって、処理した画像に現れてきます。そして、素材に含まれていた、人間の目では判明できないような微小な階調差、たとえば星雲の淡く暗い部分の構造でも、画像処理によって目に見えるものに変換し、新しい画像に生まれ変わらせることができます。
このように、ステライメージは、根本の性能からして、描画やレタッチを主目的とした他の画像処理ソフトとは異なっています。