まもなく極大を迎える変光星ミラ

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ミラ型変光星の代表星でもあるくじら座のミラが7月の極大に向かって増光中だ。明け方の東の低空に見えるので、早起きして極大期のミラを観察してみよう。

【2022年6月28日 高橋進さん】

くじら座の胸元に輝くミラ(くじら座ο星)は1596年にドイツのファブリチウスによって発見された長周期変光星で、新星・超新星を別とすると最も早く変光が発見された星です。変光周期はおよそ332日で、昨年は8月9日ごろに極大を迎えたことから、今年は7月初旬に極大になるとみられていますが、各天文誌や年鑑類の予想は7月初旬から8月初旬まで多少のばらつきがあります。

ミラの光度
近年のミラの光度。画像クリックで表示拡大(VSOLJメーリングリストのデータから高橋さん作成)

極大日を求めるには、できれば極大の前後1か月くらいの観測が望ましいとされます。とくに極大期のミラ型変光星は複雑な光度変化を起こすこともあり、昨年の極大でもいつが極大なのかずいぶんと迷わされました。少しでも早い時期での観測が求められますが、3~6月ごろは太陽と同じ方向にあるため、なかなか見ることができません。2003年以降の日本の眼視観測でミラを最も早い時期に観測した記録は、広島県の中井健二さんが2005年6月9日の4時15分に観測されたもので、日の出の40分前、高度9度という低空でした。大変な努力だったと思われます。

今シーズンの動向を見ると、5月24日にブラジルのA. Amorimさんが6.5等、6月26日にアメリカのC. Andrewさんが3.7等と観測されています(アメリカ変光星観測者協会より)。今年のミラは3月中旬におよそ9等の極小を経過したと思われますが、その後は順調に明るさを増してきている様子がうかがえます。

ミラの極大日予報はミラ型変光星の周期は恒星の進化によって変化していくことが知られていて、その意味でも極大日を求めることには大きな意義があります。天候が不安定な時期でもありますが、ぜひ早起きして、極大を迎えようとしているミラを観測してみてください。

ミラ周辺の星図
ミラ周辺の星図。数字は恒星の等級(38=3.8等)を表す。惑星は7月5日3時の位置。画像クリックで表示拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

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