松本市教育文化センターのプラネタリウムで「星空プログラミング」
【2022年9月16日 アストロアーツ】
報告:小林直木さん(松本市教育文化センター)
「本物のデータを使ってプログラミングしているなんて、本当にすごい」
「プログラミングしてわかったことがあるよ。それは、宇宙は本当に奥が深いってこと」
「僕の生まれた日に木星へフライトするプログラミングをしたよ。将来宇宙へ行くときは、時間を調べてシミュレーションしておかないと、お目当てのものが見られないこともあるんだよ」
これらは、今年8月に開催された「星空プログラミング」を終えた参加者の声です。
「星空プログラミング」とは、アストロアーツの「ステラドームスクール」を活用して星空や宇宙をプラネタリウムに表現する講座です。小中学校では令和2・3年に新学習指導要領が施行され、プログラミング教育が必修化されました。そこで当センターでは、学校連携を担う専門性を活かし、参加者がプログラミング的思考力や表現力を高めていけるよう「星空プログラミング」と名付けて実施しました。
8月、講座には小学校4年生から高校2年生が集まりました。私たちは、次に挙げる2点を大切に参加者を支援しました。
1つ目は、「参加者が自分の願いをプログラミングで着実に実現し、磨いていけるように支援」すること。
受講生のAさんは初め、「オリオン座を地球外の惑星から見たらどうなるんだろう」と考えました。その後、Aさんはプログラミングを通して、オリオン座の形は変わらないが見える位置が異なることに気が付きました。さらに、本物のデータに基づくシミュレーションを体験し、「土星から環を見上げたい」「衛星からもオリオン座を見上げたい」等、次々と願いを口にしていきます。私たちはその願いを表現するプログラミングを、Aさんと一緒に組み立てていきました。ステラドームスクールは拡張性に富み、プログラミング的思考力を深めていける特徴があります。参加者の願いに合わせて機能をカスタマイズし、「光跡残し」「方位の移動」等のパーツを独自に追加し、細かな数字の調整も行いました。こうしてAさんは、思い描く世界観を余すところなく表現することができました。
2つ目は、「参加者が、相手のためにプログラミングし、磨いていけるように支援」すること。
別の受講生Bさんは、自分が大好きな宇宙についてお客様にも興味を持ってほしいと願い、宇宙フライトをプログラミングしました。中間発表の際、Bさんは「(着陸のスピードが)ちょっと速いな。酔っちゃう」という友達のつぶやきを耳にします。「時間を調整したい」という希望を叶えるため、私たちはBさんと一緒に納得のいく着陸を実現していきました。Bさんは素敵な星空を「表現する」こととともに、「相手に伝える」ことも大切にして、作品を磨いていったのです。
また、オリジナルの童話を家で書くのが大好きな受講生のCさんは、星座とともに挿絵も夜空に投映できることを知り、キャラクターづくりにいそしみました。物語の世界観を相手に伝えるために、挿絵を投映する位置・大きさ・タイミング等に着目して作品を磨き、対話形式で感情のこもった「星空読み聞かせ」をプログラミングしました。
8月17日(水)、大勢の来館者やマスコミに見守られるなか、発表会が行われました。溢れる星空への思いを表現し、伝えることができた参加者は、満足気な表情を浮かべながら冒頭の感想を語りました。続けて開催されたトークライブでは、子供たちからステラドームスクールの開発者に、今後やってみたいことに関わる積極的な質問が飛び交いました。参加者は宇宙への興味や制作への意欲を一層高めながら、「またやりたい」と話していました。
松本市教育文化センターは、プラネタリウムを「プログラミング学習」として位置付けた「星空プログラミング発祥の地」です。大きな反響をいただいた「星空プログラミング」は、すでにブラッシュアップを図って続編を計画中です。年度内にはこれまでの作品を募って「星空プログラミングフェス」も開催予定です。さらに、「星空プログラミング」を学校独自の教育課程へ位置づけることや、教職員研修としても取り入れることも進めています。ある教職員は、担任している子供たちに星空プログラミングで解説することも考えています。松本市教育文化センターは、「星空プログラミングの聖地」として運営してまいります。告知や活動の様子等につきましては、当センターのTwitter等で紹介していきますので、ぜひチェックしてください。
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