減光を始めた変光星かんむり座R

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炭素の雲によって突然暗くなる変光星、かんむり座Rの減光が始まったようだ。今後、急激に暗くなっていくと予想され、目が離せない。

【2023年6月5日 高橋進さん】

かんむり座R型変光星の代表星であるかんむり座Rは、1795年にイギリスのエドワード・ピゴットによって発見された変光星です。平常光度はおよそ6等ですが、減光を始めると急速に暗くなっていき、15等くらいにまで暗くなります。減光のメカニズムはあまりはっきりとはわかっていませんが、恒星内部から炭素を多く含んだガスが噴出して恒星の光を覆い隠すという説が有力です。

このかんむり座Rが5月下旬から暗くなりはじめたようです。最初に減光に気づいたのは八王子市の中谷仁さんで、5月31日に6.4等と目測して、「R CrB(かんむり座R)、ちょっと暗かったようです」と報告されました。他の観測者からも報告があり、減光開始とみられています。

かんむり座Rの光度
かんむり座Rの最近の光度(VSOLJのデータベースから高橋さん作成)

減光が本格的になると、かんむり座Rは日に0.2~0.3等のスピードで急速に暗くなっていきます。急激に暗くなっていく様子を、ぜひ観測してみてください。

かんむり座R周辺の星図
かんむり座R周辺の星図。数字は恒星の等級(74=7.4等)を表す(「ステラナビゲータ」で星図作成、比較星光度はAAVSOによる)

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