復活したハッブル宇宙望遠鏡の最新画像

【2009年9月15日 HubbleSite

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が、今年5月の修理ミッション実施以降に初めてとらえた画像が公開された。新たに取り付けられた観測機器はもちろん、修理された機器も正常に動作しており、望遠鏡が見事復活したことが確認された。


(HSTの最新画像)

HSTの最新画像。左上から時計回りに、バグ星雲、ステファンの五つ子、ηカリーナ星雲の柱と呼ばれる領域、ケンタウルス座ω星団の中心領域。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and the Hubble SM4 ERO Team)

(ηカリーナ星雲の柱と呼ばれる領域の画像)

ηカリーナ星雲の柱と呼ばれる領域の可視光画像(上)と近赤外線画像(下)。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and the Hubble SM4 ERO Team)

今年5月に行わわれたHSTの修理ミッションでは、掃天観測用高性能カメラ(ACS)と宇宙望遠鏡撮像分光器(STIS)が修理されたほか、新しく広視野/惑星カメラ3(WFPC3)と宇宙起源分光器(COS)が取り付けられた。

HSTのウェブページでは、これら4つの機器を使ってとらえられた分光観測データや画像など50枚以上が公開されている。

1枚目の画像はその一部で、「ステファンの五つ子」の名で知られる銀河群、大球状星団であるケンタウルス座ω星団の中心領域、惑星状星雲のひとつであるバグ星雲(NGC 6302)、ηカリーナ星雲の柱状の構造などが見事にとらえられている。

その中の1つ、ηカリーナ星雲は、りゅうこつ座の方向約7500光年の距離に位置する。星雲の中には、ガスとちりから成る柱状の構造がある。2枚目の画像は、WFPC3を使って、柱(長さ約3光年)の先端を可視光(上)と近赤外線(下)の波長でとらえたものである。可視光ではガスやちりに隠されて見ることができないが、近赤外線では若い星から左右に10光年ほどの長さに伸びるジェットが(画像中央左寄りに)はっきりと見えている。

米・宇宙望遠鏡科学研究所でHSTチームのリーダーをつとめるKeith Noll氏は、「画質の高さと観測で得られたスペクトルに、これまでにない興奮を覚えました。HSTの能力がグレードアップしたことが確認できました」と話している。また、NASAの科学ミッション局副長官であるEd Weiler氏は、「ハッブルの再出発です。劇的な改造が施され、これまでにない能力を備えたことで、2010年代にも活躍してくれることでしょう」と話している。