土星の衛星タイタンに氷火山とみられる地形
【2010年12月17日 NASA】
探査機カッシーニが、土星の衛星タイタンにある氷火山とみられる地形をとらえた。表面物質や地形の高低の詳細がわかる動画も公開されている。
NASAは14日、土星探査機カッシーニが土星の衛星タイタンのソトラ・ファキュラ(Sotra Facula)と呼ばれる一帯でとらえた、氷の火山とみられる地形の画像を公開した。右はそのうちの1枚で、緑に着色された高い山の部分は高さ1,000m以上。そのそばには深いクレーターや青色に広がる砂丘が写っている。
下記リンクから動画の方を見てみよう。前半部分は右の画像同様、カッシーニの可視光と赤外線分光計の観測に基づいて、表面物質の違いを擬似カラーで表したもので、青茶けた部分が砂丘、青色が露出した氷を表している。白っぽく明るい部分は何か軽い有機物質が氷を覆っている部分のようだ。明るく黄色い部分が指でなぞったような流状地形で、ちょうど地球の火山のカルデラのような部分である。
動画後半は、レーダーでとらえた地形の高低を擬似カラーで表したもので、青は低地、黄色や白は高地を表す。この映像では、流状地形はひじょうに薄い(100m以下)ためか少しわかりづらい。
氷の噴出といえば、同じく土星の衛星エンケラドスに見られる「タイガーストライプ」と呼ばれるひび割れからの噴出などがある。また、タイタンでこれまで見つかった流状地形は、堆積物など火山以外のプロセスによるものと思われていたが、今回発見されたソトラ・ファキュラの地形は、高い山とクレーター、そして流状地形が見られる点が地球の火山によく似ており、氷火山であるという説明がぴったりくる。
アリゾナ大学の惑星研究者Jeffrey Kargel氏はこの画像を「氷の衛星に火山があるということのもっとも強力な裏付けになる」と話している。また、カッシーニのプロジェクトサイエンティストLinda Spilker氏によれば、「太陽系天体に見られる不思議な地形がなぜできたか、氷火山がその謎を解くカギとなる。たとえば、太陽光によってメタンの分子が分解されるのにも関わらず、なぜタイタンのメタンの海が枯渇しないのか、といったことも氷火山の存在で説明がつくんですよ」とのことだ。