ハッブル21周年記念に銀河のバラを 衝突銀河Arp 273

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【2011年4月22日 ハッブル宇宙望遠鏡

4月24日に打ち上げから21周年を迎えるハッブル宇宙望遠鏡。これを祝い、銀河同士が衝突しバラの花のような形状を見せる美しい画像が公開された。


(バラの花のような形のArp 273の画像)

バラの花のような形のArp 273。UGC 1810とその伴銀河UGC 1813、そして矮小銀河が重力で影響を及ぼし合っている。ハッブル搭載の「広視野カメラ3」が2010年12月に撮影。クリックで拡大(提供:NASA, ESA and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))

アンドロメダ座の方向約3億光年先にある「Arp 273」()は、大・中・小の3つの銀河がお互いに重力で影響を及ぼし合って形状が変化しているという非常にユニークな天体だ。

画像は、大銀河「UGC 1810」(画像上部)と、それを通り抜けたもう1つのやや小さい銀河「UGC 1813」(画像下部)をとらえたものだ。UGC 1810の腕はUGC 1813の重力に引っぱられてゆがみ、バラを思わせる形状に変化している。一番外側の腕が広がらずに大きな環になっているのは、銀河中心から少し外れたところをUGC 1813がすり抜けたためにできたものと思われる。

UGC 1813の銀河中心核は明るく輝いており、銀河同士の相互作用によって爆発的に星生成が引き起こされたと考えられる。

この2つの銀河は、大きいほうが小さいほうの約5倍の質量がある。このような差がある場合、小銀河の通過が比較的速く、大銀河に残る痕はバランスの悪い非対称な構造となる。また、小銀河での爆発的星生成が大銀河より先に開始されることが多い。小銀河が星の材料となる中心核のガスをあまり消費していないからと考えられる。

さて、もう1つの一番小さい銀河はどれだろうか。UGC 1810の右部分、腕の先につかまるように小さく光っているのがそれだ。年老いた星が放つ赤い光で染まるUGC 1810の腕が、この小銀河を境にして若い星が放つ青い光の塊に変わっている。このように規則正しく並んだ青い光の斑点は他の銀河にも見られるもので、腕の中のガスが活発化して星が多く生まれている場所である。

注:「アープ(Arp)」 アメリカ天文学者Halton Christian Arp(1923〜)が作成した、特異な形状の銀河のカタログに掲載されている天体。

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