LROの観測による月の高解像度地形図が公開
【2011年11月21日 アリゾナ州立大学】
アメリカの月探査機「ルナー・リコナサンス・オービター」が撮影した月の高解像度地形図が公開された。これは最高1ピクセルあたり100mの解像度で撮影されたもので、月の全球をカバーしている。1kmより大きいクレーターや火山などの研究に役立つと期待されている。
2009年に打ち上げられたNASAの月探査機「ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)」に搭載されている広角カメラ(WAC)のステレオ画像やレーザー高度計(LOLA)のデータを用いて、これまでで最も高解像度な月の地形図が得られた。
作成された画像は最高で1ピクセルあたり100mの解像度を持っており、地殻の変形や衝突クレーターの形成の研究、将来の無人あるいは有人の月探査計画の立案にも役立つと考えられる。
何度も何度も地表面を撮影して得られた広角カメラの69000ものステレオモデルから作られた地形図は、影の関係で、極付近を除いた南北緯それぞれ79度まで、全球の98.2%の領域しか作れない。そこでLOLAが取得した高度データを利用することで、極付近の「穴」をふさぐことができた。
今回公開された画像は1年目に取得したデータから作成されたもので、2年目以降の新たな画像を加えると解像度の向上や現在の画像に残っている小さな画像のつなぎ目をふさぐことができる。カメラチームによるゆがみの補正と、高度計チームによる探査機の位置情報の向上により、次バージョンの月球モデルはさらに精度が上がると期待されている。