原始星からのジェット、暗黒星雲の向こうでもくっきり
【2013年8月21日 アルマ望遠鏡】
アルマ望遠鏡が、1400光年彼方の生まれたての星から激しく噴き出すガスジェットをとらえた。暗黒星雲の向こう側の天体も詳しく見ることのできるアルマ望遠鏡が、星の誕生についての研究に新たな展開をもたらすことが期待される。
米イェール大学のヘクター・アルセさんらによるアルマ望遠鏡を用いた観測研究で、生まれたばかりの星(原始星)から噴き出す分子ガスジェットが詳しくとらえられた。
生まれたばかりの星は、時速100万kmにも達する速度でガスを放出することもある極めて活動的な天体だ。こうした星から噴き出したガス(分子流)が周囲のガスと衝突すると、明るく輝く「ハービッグ・ハロー(HH)天体」を形成する。その中でも特徴的な姿を見せ「原始星からの分子流を調べるうえでは教科書的な天体」(アルセさん)とされるのが、ほ座の方向1400光年彼方に位置するHH46/47である。
画像は、欧州南天天文台の新技術望遠鏡がとらえたこの天体の可視光像と、アルマ望遠鏡による電波画像(ガス中の一酸化炭素分子が放つ電波をとらえている)を合成したものだ。
原始星(画像中央の明るい部分)の左上が地球側に向かうジェット(青・ピンク)で、これは従来も観測されていた。右下方向のジェット(緑・オレンジ)は、暗黒星雲の向こう側に広がっているためにこれまでほとんど観測されていなかったが、今回初めてはっきりと写し出されている。さらにガスの移動速度も精密に測定され、考えられていたよりそのスピードが速いことがわかった。
さらに、アルマ望遠鏡の高い感度と解像度により、HH46/47と直交する分子流も発見された。原始星と連星を成すさらに軽い原始星からのものと考えられる。