空飛ぶ天文台がとらえた生まれたての巨星

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【2013年4月18日 NASA

NASAの航空機望遠鏡「SOFIA」が、太陽20個分もの質量を持つ生まれたての星の姿をとらえた。これまで複雑と思われてきた大質量星の形成プロセスは、意外にシンプルなもののようだ。


中間赤外線でとらえたG35

2種類の波長の中間赤外線でとらえたG35。クリックで拡大(提供:Zhang et al. 2013, Astrophysical Journal、以下同)

観測に基づいたG35の模式図

G35のコンピュータ・モデルの画像。地球側に向いた上のジェットが下のジェットより明るく見えている。クリックで拡大

太陽のような恒星は、塵とガスの雲の凝縮というシンプルなプロセスで生まれる。一方、若い星が集まる活発な環境の中で生まれる大質量星は、複雑なプロセスでできると考えられてきた。

こうした生まれたての星のひとつ「G35」は、わし座の方向8000光年彼方にある大質量星で、太陽の20倍も重い。米フロリダ大学のYichen ZhangさんらはNASAの成層圏赤外線天文台「SOFIA」に搭載された特殊な赤外線カメラで、このまぶしい原始星のそばのかすかな領域をつぶさにとらえた。

画像1枚目はSOFIAによる中間赤外線像、2枚目はそれを単純に模式化したコンピュータ・モデルである。原始星が周囲の星間雲を内側から熱し、円錐形のガスのジェットを両極方向に放出する様子がわかる。

これらの観測でわかったG35の構造は思ったよりもずっとシンプルな姿であり、これほどの大質量星でも太陽と同程度の星と同じようなプロセスで形成されることが示唆された。

「G35のような巨星は、数は多くありませんがとても重要な存在です。太陽のようなそれほど大きくない恒星の形成を促進するというデータもありますし、一生の最後に起こる超新星爆発で作られる元素が、地球などの惑星の材料ともなります」(SOFIAの研究員James De Buizerさん)。