24日の「きりん座流星群」、出現なるか
【2014年5月13日 星ナビ/ウェザーニューズ】 5月21日更新
5月24日、新たな流星群「きりん流星群」が出現する可能性が指摘されている。予測極大時刻は日本ではまだ昼間だが、どのような出現となるか全く未知数なだけに要注目だ。
SOLiVEでの中継情報を追加しました。(※)5月2日発売「星ナビ」2014年6月号の記事(執筆:佐藤幹哉さん)をWeb用に再構成したものです。
母天体の発見
きりん座流星群(仮称、以下「きりん群」と略)は、5月24日に新流星群としての出現が期待される流星群である。
流星群のもとになる塵を放出した天体を母天体と言うが、きりん群の母天体はリニア彗星(209P/LINEAR)である。この天体は、2004年2月3日にLINEARプロジェクトによって小惑星状の天体として発見された。その後、同年3月30日にサイディング・スプリング天文台のマクノート氏によって尾が観測され、彗星であることが確認されている。彗星は公転周期が約5.1年であり、太陽から最も離れる遠日点が木星軌道に近い木星族の新しい短周期彗星であった。また太陽に最も近づく近日点付近では、地球軌道よりも内側に入りこんでおり、2014年5月には彗星が地球に比較的接近することも判明した。
流星群出現の期待
彗星が地球に接近するということは、流星の元となる塵の流れ、つまりダストトレイルも地球と接近する可能性があるということである。筆者ほかフィンランドのライチネン氏、ロシアのマスロフ氏(2010年)、パリ天文台のヴォバイヨン氏(2012年)による計算の結果、それぞれ多少の違いはあるものの、5月24日16時(日本時)前後にダストトレイルと地球が遭遇することではどれも一致し、新流星群出現の期待が高まった。
だがその出現数を予想することはたいへん難しい。ダストトレイルが放出されたのが母天体発見以前であるからだ。母天体が発見された2004年以前の彗星活動は、まったく未知なのである。逆に考えれば、実際の流星出現数から当時の母天体の活動を推測できるということでもあり、出現規模を決定することはとても重要な観測と言える。
日本で観測するには?
極大時刻の日本は昼間の時間帯であり、通常の観測ではとらえることができない。放射点自体は高く上っているので(東京の放射点高度:46度)、電波による観測は可能である。滋賀県にある京都大学生存圏研究所のMUレーダーが観測予定であるほか、無線用電波を利用したアマチュアによるHRO観測でもとらえられるかもしれない。ただしどちらも一般的な観測ではない。
だが日本で流星を目撃する可能性はまだ残っている。ひとつには、今回のきりん群は明るい流星が流れる可能性がある。マイナス8等よりも明るい火球が出現すれば、青空の中でも見えるだろう。その数はひじょうに少ないと考えられるが、しし座流星群などで昼間に流星が見られたこともあり、チャレンジする価値はありそうだ。
もう一つは夜を待つことである。関東地方の薄明終了は20時30分だが、20時ごろには眼視観測が可能になる。ダストトレイル接近による一般的なケースでは、極大の前後2時間程度が出現時間だが、もっと広く塵が分布している可能性もあり、出現が長引くかもしれない。また予想をはるかに超える大出現が起これば、極大後にもそれなりの数の流星が出現するはずである。
きりん群は、これまでに見られたことのない新流星群であり、たとえ1個でも流星が捉えられれば、それはたいへん価値のある観測となる。地心速度は秒速約16kmと、10月りゅう座(ジャコビニ)流星群(約21km)のそれよりもさらに遅い。北から流れるゆっくりとした流星をイメージして、観測にトライしてみてはいかがだろうか。
SOLiVEできりん座流星群を生中継
24時間ライブ放送番組「SOLiVE24」(株式会社ウェザーニューズ)では、きりん座流星群の特別中継番組を放送予定だ。
極大予測時刻前後の15時〜18時には、真夜中を迎えるアメリカの2地点(ワイオミング州とオクラホマ州)からリアルタイムに流星の状況をレポートする。視聴方法は以下の通り。
- ウェブサイト「ウェザーニュース きりん座流星群」
24日13時30分に特設サイトに切り替え - スマートフォンアプリ「ウェザーニュースタッチ」SOLiVE24 Ch.
- テレビ:BS 910Ch.
- 都内丸の内でのパブリックビューイング(詳細は上記ウェブサイトを参照)
アメリカからの中継や電波観測速報(下記〈関連リンク〉参照)をチェックして、日本でも見られるかどうか、状況に応じて空を眺めてみよう。