シューメーカー・レヴィ彗星の木星衝突から20年
【2014年7月17日 アストロアーツ】
1994年7月、シューメーカー・レヴィ彗星(D/1993 F2)の20個あまりの分裂核が数日間にわたって次々と木星に衝突し、巨大な衝突痕を残した。太陽系天体同士の衝突を地上からリアルタイムで目撃するという、史上まれにみる出来事であった。
シューメーカー・レヴィ彗星(D/1993 F2、P/Shoemaker-Levy 9、以降SL9)の分裂核が木星に衝突し、巨大な衝突痕が観測されてから20年が経った。
SL9は、1993年3月24日に米・パロマ山天文台での観測によりレヴィさんとシューメーカーさん夫妻が発見した。直後の観測で20個あまりの彗星核が連なっているようすが確認され、1992年7月に木星に接近した際に強い重力による潮汐作用で引き裂かれてばらばらになったものと判明した。
SL9の木星衝突を最初に予測したのは、日本の天文家・中野主一さんだった。多くの地上望遠鏡や探査機の目が注がれる中、彗星核は1994年7月16日から22日にかけて次々と木星の表面に衝突した。その衝突痕は、アマチュア用の天体望遠鏡でもよくわかるほど大規模なものだった。太陽系最大の惑星に彗星のかけらがぶつかったところで大きな変化はないのではという予測もあった中で、世界中の研究者や天文ファンに大きな衝撃を与えた。
近年の天文界でもっとも劇的なもののひとつであるこのイベントは、太陽系内部に近づく小天体をブロックするという木星の役割を象徴する出来事でもある。また、巨大な天体衝突を現実の可能性としてとらえ、地球近傍天体の監視強化を推し進めるきっかけともなっている。