さそり座に7等台の新星が出現

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4月20日、さそり座に7等台の新星が出現した。今年これまでに発見された新星のなかでは最も明るいものだ。

【2023年4月25日 高橋進さん】

オーストラリアのA. Pearceさんが4月20.705日(世界時。日本時では21日1時55分ごろ)、さそり座に8.0等の新天体を発見しました。位置は以下のとおりです。

赤経  17h22m45.05s
赤緯 -41°37′16.3″(2000年分点)

さそり座の新星の位置
さそり座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

Pearceさんによれば、前日、前々日に撮影した画像では12.5等よりも明るい天体はなかったとのことです。また、静岡県掛川市の西村栄男さんも日本時間21日4時13分ごろに9.9等で独立発見しています。

この新天体は世界各地から確認観測が行われました。さらに、チリ・セロトロロ汎米天文台のSMARTS 1.5m望遠鏡によるスペクトル観測により、この天体が古典新星であることが確認され、「さそり座V1716(V1716 Sco)」の符号が付けられました。位置天文衛星「ガイア」のデータから、この位置にはもともと19等の天体があったことがわかっています。

確認画像
確認画像(撮影:清田誠一郎さん

新星は21日ごろに最も明るくなり、6.8等で観測されました。その後は急速に減光していき、24日には8.2等にまで暗くなっています。

新星の光度
さそり座V1716の光度(CBATおよびVSOLJデータより高橋さん作成)

新星が出現したのはさそり座の尾の付近で、日本からは低空の天体です。暗くなったとはいえ、今年これまでに出現した中では最も明るい新星です。ぜひ観測してみてください。