大西さん、2度目のISS長期滞在をスタート

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大西卓哉さんたち4名を乗せた宇宙船「クルードラゴン」が3月15日に打ち上げられ、翌16日に国際宇宙ステーションに到着した。大西さんは約半年間のISS滞在中に船長も務める。

【2025年3月17日 JAXA(1)(2)

大西卓哉さんたち4人の宇宙飛行士が搭乗した宇宙船「クルードラゴン」10号機(クルー10)を搭載したファルコン9ロケットが、3月15日8時03分(日本時間、以下同)に米・フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられた。クルー10は約10分後にロケットの第2段から切り離され、地球周回軌道へ投入された。

クルードラゴン10号機の打ち上げと打ち上げ前の大西さん
(上)クルードラゴン10号機の打ち上げ、(下)ロケット発射台へ向かう前に集まった人々に手を振る大西さん(提供:JAXA)

打ち上げ成功後、大西さんは、2016年以来となる自身2度目の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在にあたり「日本の皆さん、たくさんの応援ありがとうございます。9年ぶりの無重力の感覚をかみしめています。ここから先のISSの宇宙の旅を楽しんでいきます」とコメントした。

クルー10は順調に飛行し、16日13時04分に国際宇宙ステーションとドッキングした。続いて、気密点検などの後にハッチが開かれ、14時35分ごろに大西さん、ROSCOSMOSのKirill Peskovさん、NASAのNichole Ayersさん、Anne McClainさんの順に笑顔でISSへ入室した。

入室直後の地上との交信イベントでは、ISSに到着したクルーが喜びや感謝や意気込みを述べ、大西さんも「日本の皆さん、応援ありがとうございました。元気にISSまで帰ってくることできました。明日から一生懸命ISSでの色々なタスクを頑張っていきたいと思います。ぜひ応援よろしくお願いします」と話した。

到着を喜び合う大西さん
迎えてくれたISS長期滞在クルーとハグを交わす笑顔の大西さん(提供:JAXA/NASA)

大西さんは約半年間のISS滞在の間に、若田光一さんと星出彰彦さんに続く日本人として3人目のISS船長を務める。船長としての役割には、緊急事態発生時の指示や、実験でより多くの成果が得られるようにクルーをまとめたり地上の管制との間で調整を行ったりするほか、クルーの健康状態に気を配って必要に応じてスケジュールを変更するといったことなどがある。

船長としての任務のほかにも、大西さんは多くのミッションをこなす。その中には、NASAが主導する月周回有人拠点「ゲートウェイ」で利用される重要な技術である、空気から二酸化炭素を除去するシステムの実験や、将来の中長期的な有人宇宙飛行を見据えたがん治療薬の効果に重力変動が及ぼす影響を調べる実験などが含まれている。

《宇宙航空研究開発機構 山川宏理事長談話(抜粋、要約)》

今回、大西宇宙飛行士の長期滞在においては、“「きぼう」にできる、ぜんぶを。”をミッションテーマに掲げ、生命科学や物質・物理科学の研究から、将来の月探査、ポストISS、さらには次世代人材の育成に繋がる宇宙実験まで、幅広い分野での取り組みが予定されています。日本の「きぼう」モジュールならではの環境を活かし、各国の宇宙飛行士と協力しながら、多岐にわたるミッションを実施してまいります。

大西宇宙飛行士の長期滞在は、今回で2回目となります。大西宇宙飛行士のフライトディレクタとして培った知識と経験を活かし、長期滞在クルーや地上の運用管制チーム、実験関係者と協調してミッションの成功に向けて貢献してくれるものと期待しています。

また、大西宇宙飛行士は第73次長期滞在において、ISS船長に就任する予定です。船長として、ISSに滞在する仲間のクルーの安全確保をはじめ、ミッションの達成に向けてリーダーシップをいかんなく発揮してくれることと思います。

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