ISS「きぼう」で袋栽培されたレタスを収穫
【2021年10月29日 JAXA】
月や火星への有人飛行など、宇宙における人類の活動拡大が見込まれる中、食料を宇宙で生産する手段が必要とされている。2017年からJAXAを中心とした官民共同で研究開発されている袋型培養槽技術もその一つで、小型の袋の内部で植物を増殖させることで雑菌混入や臭気発生を防げるのが強みだ。また、設備が簡易なので地球からの輸送やメンテナンスがしやすい、省エネルギー、数量調整がしやすいなどのメリットもある。将来的に月面基地や宇宙船での栽培に使われると期待される。
袋型培養槽技術を宇宙空間の微小重力環境下や閉鎖環境下で検証する実験が、8月27日から10月13日までの48日間にわたって国内宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟で行われた。袋栽培が宇宙で実施されたのは初めてのことだ。
栽培装置はISSの飲料水から無菌培養液を作り給水するシステムや生育状況の自動撮影システムを備えつつも幅44cm×奥行35cm×高さ20cm、重量5kgとコンパクトで、3つの袋でレタスを育てることができる。
栽培は無事に成功し、9月10日にはレタスが収穫された。収穫されたレタスは今後回収され、食品衛生上の問題がないか確認される。また、栽培後の培養液も分析し、ISSの循環装置を通じて水としての再利用が可能であるかも検証される。生育の様子を撮影した記録などとあわせ、水耕栽培や土耕栽培に対する優位性が評価される予定だ。
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