彗星表面からフィラエが見た初めての景色

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史上初の彗星着陸を果たした「フィラエ」から、着地後の撮影画像が届いた。フィラエは当初の予定から外れた場所に着地したとみられるが、状況を慎重に確認しながら世界初の画期的探査が進められている。

【2014年11月14日 ヨーロッパ宇宙機関

13日(日本時間)に探査機「ロゼッタ」から投下され、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)の地表に到達した着陸機「フィラエ」から、着地点周辺の景色を写した初の画像が届いた。360度のパノラマ画像から、フィラエの現在地の周囲は平坦ではなく凹凸の多い環境であることがうかがえる。

着地点での撮影画像
着地点での撮影画像(提供:ESA/Rosetta/Philae/CIVA)

フィラエが撮影したパノラマ画像
最終的に着地した現在地でのパノラマ画像を、中央にフィラエが位置するとして並べたもの。辺りは暗く、凹凸の多い環境であることがうかがえる(提供: ESA/Rosetta/Philae/CIVA)

フィラエは最初のタッチダウンを果たした後に大きくバウンドし、およそ2時間後に小さなバウンドをともなって再着地したことがデータ分析からわかっている。最初の着陸地から約1kmほどずれた位置にあり、周囲を撮影した画像からは窪地の縁にいる可能性が高いと推測されるが、正確な現在地は不明だ。日陰が多く日照時間が想定より短くなるため、太陽電池で動くフィラエの活動への影響が懸念される。また、3本の脚のうち1本が宙に浮いた不安定な体勢ともみられている。

フィラエの着陸場所
フィラエは当初の予定着陸地(赤)から大きくバウンドし、青く示された範囲の窪地の縁に留まっているとみられる(提供:ESA)

姿勢が不安定なため、ドリルの掘削や固定用のくい打ち込みといった物理的な操作は慎重にならざるを得ないが、太陽電池パネルや観測装置、通信については今のところ問題は見られないという。彗星地表からの観測という史上初の探査はすでに始まっており、この困難な状況からどのように最大限の成果を引き出していくかに注目したいところだ。

ロゼッタのフライトディレクター、Andrea Accomazzoさんは13日の会見で、「探査機を飛ばすこと自体もやり甲斐がありますが、重要なのはこれからの探査です。(ミッションの予定期間である)2年後まで、この素晴しいミッションで素晴しい成果を挙げつづけていたいと願っています」(要旨)と決意を語っている。

最初の着地直前の撮影画像
最初の着地直前、40m上空からの撮影画像(提供:ESA/Rosetta/Philae/CIVA)

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