アストロアーツ協力の星空描写 映画『planetarian』公開
【2016年9月2日 星ナビ編集部】
「プラネタリウムで星空解説をするロボット」という設定が天文ファンの間で話題となったWEB配信アニメ『planetarian-ちいさなほしのゆめ-(全5話)』。7月7日配信の第1話から、明石市立天文科学館の「カールツァイス UPP23/3」をモデルとした投影機・通称「イエナさん」が登場し、第3話の番組投影シーンでは、プラネタリウムの中にいるような演出と星空描写がなされた。フォルムが崩れないプラネタリウム本機や、星の配列や明るさがリアルな星空の描写に注目した人も多かったことだろう。
じつはこの星空描写は、津田尚克監督の要望で、アストロアーツが全面協力して実現したものだ。2009年放映の天文部を舞台にしたアニメ『宙のまにまに』で演出を担当した津田監督が、「星空ならアストロアーツ!」ということで『planetarian』でも声をかけてくださったのだ。
アニメ『宙のまにまに』では、星空描写や天体望遠鏡描写などでアストロアーツが協力したが、今回は、デジタルプラネタリウム投影システム「ステラドームプロ」を使って、プラネタリウムのドーム空間を再現するデータを提供した。星空データを作成したプラネタリウム事業部の担当は「星の大きさや表現方法などについても検討を重ね、実際に幾つかのパターンを出力しながら、作業に最適なものを探しました」と言う。
津田監督によると、プラネタリウムをリアルに描写するために、アニメ製作スタッフが明石市立天文科学館や都内の複数のプラネタリウムに取材を重ねたという。プラネタリウムも星空も「実際にあるものだし嘘はつけない」という製作側の意気込みが感じられるシーンの数々は、ふだんいろいろなアニメで目にする「ランダムに点を打っただけの星空」や「虹色の天の川」、「金環食のような三日月」に残念な思いをしている天文ファンも納得の作画だった。
物語の舞台は大戦により荒廃し、常に雲が空を覆っている世界。そんな非現実的な物語にもかかわらず、「プラネタリウムの日常」がとても丁寧に描かれていることで、虚構がリアルになり、作品世界にすっと入り込める。太陽も月も星も見えず、人類が静かに滅亡へ向かっていく物語の中で、少女型のロボット「ほしのゆめみ」が見せる星空はどんな意味を持つのか。答えは『planetarian-星の人-』で確かめてほしい。映画を見て本当の星を見に行きたくなったら、それこそが「プラネタリアン」の力といえるだろう。
劇場版アニメーション『planetarian-星の人-』
人間の愚かな戦争は、世界を雪で覆い、確実に滅びへと向かわせていた。隆盛を誇った文明も加速度的に荒廃していき、人口も10万人を切ろうをしていた。星すら見えないこの世界では、人々は地上で暮らすことも難しく、地下の集落に身を寄せ合って暮らしていた。かつて「屑屋」と名乗っていた男は。過去のある出来事がきっかけで「星屋」と名乗るようになり、“星の美しさ”を彼が訪れる集落の人々に伝えていた。その知識の深さとたたずまいから、いつしか人は彼のことを「星の人」と呼び、敬うようになった。そして、世界を旅しながら老いていく「星の人」には、ただひとつの心残りがあった……。
- ■監督:
- 津田尚克
- ■キャスト:
- すずきけいこ、小野大輔 ほか
- ■原作協力:
- VisualArt's/Key
- ■アニメーション制作:
- david production
- ■公式サイト:
- http://planetarian-project.com/
〈関連リンク〉
- 『planetarian-星の人-』公式サイト: http://planetarian-project.com/
- アストロアーツ「ステラドームプロ」: http://stelladome.com/
- 月刊「星ナビ」:
現役プラネタリアンによる『planetarian』紹介 - 明石市立天文科学館: http://www.am12.jp/
作中に登場する投影機のモデルとなった「カールツァイス UPP23/3」が現役稼働中 - 三菱電機 DSPACE: http://www.mitsubishielectric.co.jp/me/dspace/special/planetarian/column/
特集『planetarian』にて、アストロアーツによる解説コラム「これを読めばplanetarianがもっと楽しめる!!」公開中
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