行方不明だった「フィラエ」が見つかった

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彗星着陸後に行方不明となり今年7月末に運用終了となった探査機「フィラエ」が見つかった。親機「ロゼッタ」のミッション終了まで残り1か月というギリギリのタイミングでの朗報だ。

【2016年9月7日 ヨーロッパ宇宙機関

画像はヨーロッパ宇宙機関の彗星探査機「ロゼッタ」の「OSIRIS狭角カメラ」によって、9月2日にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)の表面から約2.7kmの高度からとらえられたものだ。3本脚のうちの2本を伸ばした「フィラエ」の機体がはっきりと写っている。機体の角度から、フィラエが着陸後に通信困難となった理由も見て取れる。

岩陰にとらえられたフィラエ
岩陰にとらえられたフィラエ(提供:Main image and lander inset: ESA/Rosetta/MPS for OSIRIS Team MPS/UPD/LAM/IAA/SSO/INTA/UPM/DASP/IDA; context: ESA/Rosetta/NavCam - CC BY-SA IGO 3.0)

フィラエのクローズアップ
フィラエのクローズアップ(提供:ESA/Rosetta/MPS for OSIRIS Team MPS/UPD/LAM/IAA/SSO/INTA/UPM/DASP/IDA)

フィラエは2014年11月にロゼッタから分離され、史上初となる彗星への軟着陸を果たしたものの、弾みで飛ばされてしまった。陰に入ってしまい太陽光発電ができなくなったため、フィラエは着陸の3日後にバッテリーを使い果たして冬眠モードに入った。それでも、彗星が太陽に接近した2015年6月と7月には、フィラエは短いながらも目を覚ましロゼッタと交信した。

しかし、フィラエの正確な位置はわかっていなかった。電波を使った捜索により、ある程度の範囲まで絞り込まれていたものの、離れたところからとらえられた低解像度画像には、あまりに多くの候補物体がありすぎたのだ。

詳しい画像分析によって、ほとんどの候補が外されていく中で、ある一つのターゲットがフィラエである可能性が高まっていった。そして、1ピクセルあたり5cmという高解像度の画像中に、脚やパネル、カメラといったフィラエの特徴が見え、このターゲットが間違いなくフィラエであるとわかったのだ。

2014年夏からチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の周回探査を続けてきたロゼッタのミッションも間もなく終わりとなる。9月30日にロゼッタは、二度と戻ることのない片道ミッションを実施する。彗星の表面へと降下して至近距離から観測を行い、彗星の内部構造の秘密などに迫る予定だ。

「ロゼッタのミッションも残すところ約1か月となった今、フィラエの姿がとらえられ、驚くほど詳細にその機体を見ることができ、本当によかったです」(OSIRISカメラチーム Cecilia Tubianaさん)。

「着陸機探しが終わったことで、ロゼッタの彗星着地準備が整った感があります。彗星にさらに接近した画像撮影が楽しみです」(OSIRISカメラ主任研究員 Holger Sierksさん)。

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