探査機ロゼッタの彗星到着から1年

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探査機「ロゼッタ」がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着してから1年が経過した。迫力のある高解像度の彗星の画像撮影や着陸機「フィラエ」の投下などのミッションをこなしながら、今月13日にはいよいよ「彗星の近日点通過」という一大イベントを迎える。

【2015年8月7日 ヨーロッパ宇宙機関 (1)(2)(3)

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の彗星探査機「ロゼッタ」は2004年3月に打ち上げられ、10年後の昨年8月に探査目標のチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着した。その後、ガスの噴出や表面の地形を撮影したり核の構造を調べたりしながら、この8月6日に1周年を迎えた。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の軌道とロゼッタ
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の軌道(楕円)とロゼッタがとらえた彗星。クリックで拡大(提供:ESA/Rosetta/MPS for OSIRIS Team/MPS/UPD/LAM/IAA/SSO/INTA/UPM/DASP/IDA; ESA/Rosetta/Philae/CIVA; ESA/Rosetta/NavCam - CC BY-SA IGO 3.0; ESA/ATG medialab)

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星
2014年8月に撮影されたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星。ロゼッタ到着1周年を記念して公開された。クリックで拡大(提供:ESA/Rosetta/Navcam - CC BY-SA IGO 3.0)

ロゼッタは数々の美しい画像を届けてくれると同時に、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星から噴き出す水蒸気は地球の水とは異なった性質を持っていることや彗星に窒素分子を初めて検出したこと、大規模な磁場はないことなど、太陽系の起源や進化などの謎に迫る科学的に興味深い成果も明らかにしている。

また、昨年11月にはロゼッタから子機「フィラエ」が投下され、史上初となる彗星表面への着陸を達成した。フィラエの着陸は計画通りとはいかず、通信は依然として不安定なままだが、ガスや塵から有機化合物を検出したり場所ごとに異なる表面の様子をとらえたり、温度計測を行ったりするなどして、様々な面白いデータが送られてきている。彗星核の構造を電波で調べたところ、内部はかなり穴が多く、塵と氷がゆるく集まっていること、数十mスケールで均質であることなどが示された。

フィラエの着陸地点「アギルキア」の位置と、降下中に撮影した彗星表面
フィラエの着陸地点「アギルキア」と、降下中に撮影した彗星表面(提供:ESA/Rosetta/Philae/CIVA)

8月13日にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、太陽に最も近づく「近日点」を通過する。彗星の活動が最も活発になるころで、これまで以上の劇的な変化が見られたり新発見があったりするかもしれない。

「ニューホライズンズ」による冥王星と太陽系外縁の探査、「ドーン」によるケレス探査、そしてこのロゼッタ&フィラエによるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の探査と、画期的な太陽系探査が同時進行中だ。どんな大発見が待っているのか、これからも目が離せない。


チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は8月中はふたご座にあり、明け方の東の空に見える。約13等級と暗く観望向きではないが、流れ星観察などで明け方に星空を見上げる機会があれば、ちょっと意識してみよう。

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