櫻井さん、いて座に新星を発見

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10月26日、茨城県の櫻井幸夫さんが、いて座に約10等級の新星を発見した。

【2016年10月31日 VSOLJニュースCBAT

著者:前原裕之さん(国立天文台)

私達の天の川銀河の中心方向に見えるいて座の中には、これまでにも多数の新星が発見されています。10月20日にいて座の中に新星が発見されたばかりですが(VSOLJ ニュース329)、別の新星がいて座の中に発見されました。

新星を最初に発見したのはハワイとチリでそれぞれ4台の口径14cmの望遠鏡とCCDカメラを使って超新星のサーベイを行っているAll-Sky Automated Survey for Supernovae(ASAS-SN, "Assassin")のグループで、10月25.02日(世界時、以下同様。日本時間25日9時30分ごろ)に撮影した画像から13.7等の新天体を発見しました。ASAS-SNの観測によるとこの天体は翌26日には11.6等に増光しました。

また、26.380日(日本時間26日18時ごろ)には茨城県水戸市の櫻井幸夫(さくらいゆきお)さんも10.4等に明るくなったこの天体を発見しました。重力マイクロレンズ現象の探索を行っているOGLE-IVの観測によると、この天体の位置は以下のとおりです。

赤経  18h20m52.25s
赤緯 -28°22′12.1″ (2000年分点)

いて座の新星
いて座の新星の発見画像(撮影:櫻井さん)

発見前の画像にはこの天体の位置に22等よりも明るい天体は見られないことから、この天体は12等以上明るくなったと考えられます。

天体の分光観測は西オーストラリア大学のPaul Luckasさんによって27.5日に行われ、スペクトルに水素のバルマー系列および1階電離した鉄などの輝線が見られることから、この天体が古典新星であるとわかりました。

いて座の新星の位置
いて座の新星の位置。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」で表示)