回転が速い銀河は平らで円い
【2017年9月15日 RAS】
銀河の形は銀河同士の合体といった過去の現象の結果であり、その形を知ることは銀河の歴史を知ることにもつながる。その形を立体的にとらえることは、一見単純そうだが実際はなかなか厄介だ。
豪・シドニー大学のCaroline Fosterさんたちの研究チームはシドニー大学とオーストラリア天文台が開発した装置を使い、845個の銀河内のガスや星の動きを詳細に観測した。「銀河の持つ特性、中でも今回は回転速度に対して、銀河の形がどのように依存するのかを初めて確実に計測できました」(Fosterさん)。
銀河はたとえばホットケーキやウニ、ラグビーボール、それらの中間のような形になるが、回転が速い銀河は遅いものに比べて平たくなるという結果が得られた。「また、渦巻銀河のうち、速く回転する銀河の円盤はより円い形をしていることもわかりました」(シドニー大学 Scott Croomさん)。
〈参照〉
- RAS News&Press:Astronomers spun up by galaxy-shape finding
- MNRAS:The SAMI Galaxy Survey: the intrinsic shape of kinematically selected galaxies 論文
〈関連リンク〉
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