南北で不揃いな木星のオーロラ
【2017年11月6日 ヨーロッパ宇宙機関】
オーロラは地球に限らず、様々な惑星や衛星、さらには恒星や褐色矮星などでも見られる現象だ。地球で見られるオーロラは南北の極で互いに鏡像のように変化する傾向があり、たとえば北極のオーロラが明るくなれば同時に南極でもオーロラが明るくなる。こうした傾向はどんな天体でも同じと予測されていた。
英・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンおよび米・ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのWilliam Dunnさんたちの研究チームが、ヨーロッパ宇宙機関の「XMMニュートン」とNASAの「チャンドラ」という2機のX線天文衛星で木星の両極のオーロラから放射される高エネルギーのX線を観測したところ、南極のオーロラが11分の周期で明滅を繰り返しているのに対し、北極のオーロラは無秩序に明るくなることがわかった。
「木星のオーロラの活動は磁場によって調整されるだろうと考えていましたが、そのふるまいには本当に首をかしげてしまいます。土星では見られない明るく高エネルギーのX線オーロラがどのように生じるのか、どうしてそれぞれの極で独立しているのか、よくわからないのです」(Dunnさん)。
「周期的に明滅するX線を発生させるには、帯電した粒子が高速で木星の大気に衝突しなければなりません。どんな過程でその現象を引き起こすのかは不明ですが、その過程は南北で独立に起こっているわけです」(英・ランカスター大学 Licia Rayさん)。
木星の両極にあるX線の特に強い場所は、それぞれが地球表面の半分ほどの領域を覆うほど大きい。オーロラがどのように生じるかだけでなく、木星がどのように高エネルギーの放射を発生させているのかについても、さらに理解する必要がある。
今後はXMMニュートンとチャンドラに加えてNASAの木星探査機「ジュノー」も観測を行い、この現象の詳細を明らかにする予定だ。さらにヨーロッパ宇宙機関の木星探査機「Juice」は2029年までに木星に到着する予定で、木星大気や磁気圏、オーロラ、オーロラに対するガリレオ衛星の影響などを観測予定である。
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〈参照〉
- ヨーロッパ宇宙機関:Surprisingly erratic X-ray auroras discovered at Jupiter
- Chandra:The Dynamic Duo: Jupiter's Independently Pulsating X-ray Auroras
- Nature Astronomy:The independent pulsations of Jupiter’s northern and southern X-ray auroras 論文
〈関連リンク〉
- XMMニュートン
- チャンドラ(ハーバード・スミソニアン天体物理学センター)
- チャンドラ(NASA)
- 「ジュノー」特設ページ
- Juice
- アストロアーツ 投稿画像ギャラリー:2017年 木星
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