ブラックホール通過のガス雲は長大なガス流の一部?

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2013年夏に天の川銀河中心の巨大質量ブラックホールに近づいたガス雲とみられる天体「G2」は、さらに長大なガス流の一部かもしれない。以前観測されたもう1つのガス雲とひとつながりである可能性が高いことがわかった。

【2014年11月25日 マックスプランク研究所

2013年夏、天の川銀河中心の巨大質量ブラックホールのそばをガス雲「G2」が通過するようすは、興味深い観測対象として注目を集めた。

今月、このG2がガス雲ではなく連星が合体してできた巨大星ではないかという研究成果が発表されたが、対照的な観測結果が新たに発表された。

独・マックスプランク研究所のOliver Pfuhlさんらが南米チリの超大型望遠鏡「VLT」を用いて赤外線観測を行ったところ、G2がブラックホールの強い重力で引き裂かれているようすがとらえられたのだ。その形と軌道は予測通りのものだった。

2006年と2008年に観測されたガス雲とその軌道
2006年と2008年にVLTで観測したガス雲とその軌道(提供:MPE)

さらに2004年~2008年の観測データから、ブラックホール周囲のもう1つのガス雲(以後「G1」と呼ぶ)に着目し、星間物質による接近後の減速も考慮しながら計算したところ、G2とひじょうに似た軌道を持つことがわかった。G1とG2はどうやらひとつながりのガス流の一部で、G1はG2より13年早い2001年にブラックホールを接近通過したようだ。

このガス流は、ブラックホールから離れた銀河円盤内の大質量星から100年ほど前に放出された恒星風が由来とみられる。ブラックホールに接近した時のG2には予想に反してX線での増光が見られなかったが、ガス流の一部とすれば説明がつくかもしれないという。

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