西村さん、さそり座に今年2個目の新星を発見

このエントリーをはてなブックマークに追加
静岡県の西村栄男さんが2月6日、さそり座に約12等級の新星を発見した。西村さんは1月にも同じさそり座に新星を発見したばかりだ。

【2018年2月14日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(京都大学)

さそり座の中に新星が発見されたというニュースを先月お知らせしたばかりですが、同じさそり座の中に別の新星が発見されました。新星を発見したのは静岡県掛川市の西村栄男さんで、先月発見されたさそり座新星に続き今年2個目の発見です。

西村さんは2月6.863日(世界時、以下同。日本時では7日5時40分ごろ)に焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラを用いて撮影した画像から、11.7等の新天体を発見しました。この天体は西村さんが発見前日の5.864日に撮影した画像は写っておらず、短期間のうちに明るくなった天体であることがわかりました。静岡県の金子静夫さんの観測によると、この天体の正確な位置は以下のとおりです。

赤経  16h48m49.64s
赤緯 -44°57′03.1″(2000年分点)

さそり座の新星
さそり座の新星の確認観測画像(撮影:清田誠一郎さん)

さそり座の新星の位置
さそり座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

発見翌日の2月7日に金子さんや千葉県の清田誠一郎さんが行った観測によると、この天体は発見時よりも1等以上増光し、10等ほどにまで明るくなっていることがわかりました。清田さんはこの天体の分光観測も行い、11.76日に撮影したこの天体のスペクトルに水素のバルマー系列の輝線が見られることを報告しました。

また、12.39日にチリにある口径4.1mのSOAR望遠鏡で行われた分光観測や、12.1日に口径10mの南アフリカ大型望遠鏡で行われた分光観測によると、この天体のスペクトルには幅の広い水素のバルマー系列や1階電離した鉄、中性酸素など多数の輝線が見られることがわかり、これらの観測結果からこの天体が古典新星であると判明しました。