小嶋さん、へびつかい座に新星を発見

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群馬県の小嶋正さんが2月12日、へびつかい座に約13等級の新星を発見した。

【2018年2月26日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(京都大学)

明け方の南東の空に天の川銀河の中心方向が見えるようになった今年の1月以降、これまでにさそり座の中に2つの新星が発見されましたが、新たな新星がへびつかい座の中に発見されました。新星を発見したのは群馬県嬬恋村の小嶋正さんです。小嶋さんは2月12.8339日(世界時、以下同。日本時では13日5時ごろ)に焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラを用いて撮影した画像から12.5等の新天体を発見しました。この天体の発見報告を受けて、2月13日に山口県の吉本勝己さんによって行われた観測によると、この天体の正確な位置は以下のとおりです。

赤経  17h24m39.93s
赤緯 -24°21′47.4″(2000年分点)

へびつかい座の新星
へびつかい座の新星の確認観測画像(撮影:清田誠一郎さん)

へびつかい座の新星の位置
へびつかい座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

この天体の位置にはもともとHα輝線を示す17等ほどの赤い天体があったこと、超新星のサーベイを行っているAll-Sky Automated Survey for Supernovae(ASAS-SN)の観測データによると、この天体は2017年9月末から増光を始めており、10月ごろには14等ほどまで明るくなっていたことも、発見後の調査でわかりました。

この天体の分光観測は広島大学の口径1.5m「かなた望遠鏡」で2月21.8日に行われ、この天体のスペクトルには強いHα輝線が見れることがわかりました。また、南アフリカ大型望遠鏡(SALT)で2月23.127日に行われた分光観測では、この天体のスペクトルには水素のバルマー系列や1階電離したカルシウムや鉄等の多数の輝線が見られることがわかり、これらの観測されたスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが判明しました。

小嶋さんの新星発見は2015年2月以来となります。

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