西山さん椛島さんたち4人、へびつかい座に新星を発見
【2018年3月14日 VSOLJニュース】
著者:前原裕之さん(京都大学)
私たちの天の川銀河の中心方向に見える星座の一つ、へびつかい座の中に、新たな新星が発見されました。新星を発見したのは福岡県久留米市の西山浩一さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫さんのチームと、静岡県掛川市の西村栄男さん、群馬県嬬恋村の小嶋正さんです。
西村さんは3月10.805日(世界時、以下同。日本時では11日4時19分ごろ)に焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラで撮影した画像から、小嶋さんは10.807日(日本時11日4時22分ごろ)に撮影した画像から、西山さんと椛島さんのチームも10.814日(日本時11日4時32分ごろ)に焦点距離120mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影した画像から、それぞれ独立に9.5等の新天体を発見しました。また、福岡県の高尾さんが10.753日(日本時11日3時4分ごろ)に撮影した画像にもこの天体が9.5等で写っていたことが報告されました。西山さんと椛島さんが発見直後に口径50cmの望遠鏡を用いて行った確認観測によると、この天体の正確な位置は以下のとおりです。
赤経 17h14m02.53s 赤緯 -28°49′23.3″(2000年分点)
スペイン領カナリア諸島にある口径2mの望遠鏡で行われた分光観測によると、この天体のスペクトルにはP CygプロファイルをもつHαや中性酸素の輝線が見られる他、1階電離した鉄などが吸収線として見られることがわかり、これらの特徴からこの天体が爆発の初期段階にある古典新星であることが判明しました。岡山県の赤澤秀彦さんによる分光観測でもP Cygプロファイルをもつ強いHα輝線が見られる同様の結果が得られました。
この新星はASAS-SNの観測データでは3月6.362日にはまだ15.5等よりも暗かったものの、西山さんと椛島さんの観測によると発見前日の9.813日にはすでに10.9等に増光していたことがわかりました。発見後の観測によると、この新星は3月12日の時点で発見時とほぼ同じ9.5等前後の明るさで観測されており、今後の明るさの変化が注目されます。
〈参照〉
- VSOLJ:No.344 へびつかい座に新たな新星が出現
- CBAT "Transient Object Followup Reports":
- CBET:No. 4492: NEW NOVA IN OPHIUCHUS = TCP J17140253-2849233 = PNV J17140261-2849237
- ATel:#11398: Spectroscopic classification of TCP J17140253-2849233 as a Galactic nova
〈関連リンク〉
- 新星の画像:
- アストロアーツ 投稿画像ギャラリー:新星・超新星・突発天体
- 星ナビ.com:新天体発見情報
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