板垣公一さんが、引き続いてNGC 941に超新星2005adを発見

【2005年2月8日 VSOLJニュース(136) / 国立天文台 アストロ・トピックス(81)

(VSOLJニュース)

(著者:山岡均さん(九大理))

山形県にお住いの板垣公一さんは、昨日超新星2005abの発見をお伝えしたばかり(vsolj-news 135)ですが、引き続いてまた超新星を発見されました。出現したのは私たちからたいへん近くにある銀河です。

超新星が出現したのは、くじら座の銀河NGC 941で、腕の開いた渦巻銀河をほぼ正面から見た形をしています。板垣さんは、2月6.402日(世界時、以下同様)に撮影した画像から、17.4等級の新しい光点を見いだしました。超新星の位置は以下のとおりです。

赤経  02時28分29.45秒
赤緯 -01度08分20.0 秒 (2000.0年分点)
NGC 941周辺の星図

銀河の中心から東に23秒角、北に45秒角のところになります。天体の存在は、翌夜(7.434日)に板垣さん自身が確認していますが、このときには超新星は16.6等に増光していました。爆発後間もないものと考えられます。

NGC 941はたいへん近くにある銀河で、母銀河での吸収がない典型的なIa型超新星ですと13等台も期待されます。今回の超新星について、早期の分光と、継続的な測光観測がひじょうに望まれます。この天体は夕空にあり、これから太陽に近付いていくのが残念です。

板垣さんは、昨年も超新星2005Aと2005Bを3日間隔で発見されました。今回は、超新星2005abが2月6日未明、超新星2005adが6日の夕方と、日本時間では同じ日に2つの天体を発見されたことになります。このような例は、日本人では、次のお二方の例があるくらいで、かなり珍しいものと言えるでしょう。

  • 森敬明(もりひろあき)さん: 1975年10月5日、彗星C/1975 T1と1975 T2を発見
  • 青木昌勝(あおきまさかつ)さん: 1996年12月15日、超新星1996caと1996cbを発見

(国立天文台 アストロ・トピックス)

山形県山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんは、りょうけん座の渦巻銀河NGC 4617 の中に超新星を発見したばかり(国立天文台 アストロ・トピックス 80)ですが、今度はくじら座の渦巻銀河NGC 941の中に 17.4等級の超新星を発見しました。この発見も兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合に報告されました。

この天体は、板垣さんが2005年2月6日夕方(日本時)に、CCDを用いて撮像した画像に写っていました。翌日夜、板垣さん自身が確認していますが、このとき、超新星は16.6等と明るくなっていました。爆発後間もないものと思われます。

この超新星は 2005ad と命名されました。

超新星の位置は以下のとおりです(VSOLJニュースと同じなので省略)。

この天体はNGC 941の中心から、東に23秒角、北に45秒角のところにあります。この天体は夕空にあり、これから太陽に近付いていってしまうので、早期のスペクトル型の判定と継続的な観測が望まれています。

板垣さんの発見(独立発見を含む)は通算14個目となり、山梨県八ケ岳南麓天文台の串田麗樹(くしだれいき)さんの発見数と並びました。

板垣さんは、2004年に超新星2005Aと2005Bを3日の間隔で発見しています。今回は、超新星2005abが2月6日未明、超新星2005adが同日の夕方と、同じ日に2つの天体を発見したことになります。VSOLJニュース(136)によると、このような例は、日本人では、「森敬明(もりひろあき)さんが、1975年10月5日に彗星C/1975 T1と1975 T2」を、「青木昌勝(あおきまさかつ)さんが、1996年12月15日に超新星 1996caと1996cb」(国立天文台・天文ニュース 75)を発見した例があるだけで、かなり珍しいものです。

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