有人滞在10周年を迎える国際宇宙ステーション
【2010年11月1日 JAXA】
国際宇宙ステーション(ISS)における有人滞在が始まったのは、2000年11月2日のことである。10周年を記念して、これまでISSに滞在した経験のある日本人宇宙飛行士からコメントが寄せられた。また、明日11月2日には、地上とISSとを結んだ記者会見のライブ配信が予定されている。
2000年10月31日、NASAの宇宙飛行士1名とロシア連邦宇宙局の宇宙飛行士2名の計3名は、初のISS長期滞在員として、ソユーズ宇宙船で宇宙へと向かった。彼らは11月2日からISSでの滞在を開始、計140日間にわたる軌道上の滞在を終えて地球へ帰還した。
その3名によるISS長期滞在開始から明日でまる10年が経過する。ISS滞在経験のある日本人宇宙飛行士からコメントが寄せられたので紹介しよう。
なお、11月2日当日には、10周年を記念してISSと地上とを結んでの軌道上記者会見がライブ配信される。配信は、日本時間2日午後10時15分(※変更の可能性あり・日本語の通訳音声による視聴可)から行われる。配信元は、以下の<関連リンク>を参照のこと。
《若田光一さんのコメント》
ISS有人滞在開始以来10年が経ち、世界15カ国の協力でISSの組み立て・運用が着実に進められてきました。日本もISS上の恒久的な有人宇宙実験施設である「きぼう」日本実験棟の本格的な利用を進める一方、宇宙ステーション補給気HTVでISSへの物資輸送手段を確立し、世界の有人宇宙開発に大きく貢献しています。「きぼう」は安全性や機能性においても優れたシステムであると共に、快適な居住環境を実現した世界に誇れる宇宙実験棟です。古川聡宇宙飛行士は医学の専門家としてISS長期滞在を行う初の日本人として来年5月からの飛行に向け訓練を進めており、医学分野のISS・きぼう利用でも日本の貢献を更に世界にアピールしてくれるでしょう。
JAXA宇宙飛行士 若田光一(国際宇宙ステーション第18・19・20次長期滞在)
《野口聡一さんのコメント》
国際宇宙ステーション、有人飛行開始10周年まことにおめでとうございます。国際パートナーの一員として、また実際に長期滞在した宇宙飛行士の一員として、心よりお祝い申し上げます。これまでの10年間、国際宇宙ステーションを舞台にして様々な有人宇宙活動が繰り広げられ、科学実験の成果や教育啓発活動の影響は世界中に広がりました。これから先のあたらしい10年に向けて、現役宇宙飛行士として国際宇宙ステーションの成果をさらに高めていくように努力したいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
JAXA宇宙飛行士 野口聡一(国際宇宙ステーション第22・23次長期滞在)
《星出彰彦さんのコメント》
地球外に人が常時滞在するようになり10年経ちましたが、これは日本をはじめ参加各国の関係者の努力および相互理解・協力があってこそ成し遂げられたものと思います。2年前に訪れた国際宇宙ステーションは既に生活感が溢れ、実験研究の仕事場としての機能も確立していましたし、人類が協力することによって成し得ることの大きさを実感することができました。「きぼう」日本実験棟および宇宙ステーション補給機HTVも今後益々活躍し、多くの科学的知見が得られることを期待しています。我々宇宙飛行士も、人類の一員として引き続き人類の活動領域および可能性の拡大に尽くしたいと思います。
JAXA宇宙飛行士 星出彰彦(STS-124ミッション)
《山崎直子さんのコメント》
国際宇宙ステーション(ISS)に人が滞在を開始してから10年。世界15カ国が協力して建設・運用をし、一緒に生活しています。地上からの補給と共に、限られた空気や水をリサイクルして環境を保つ、これらの技術が、地球の環境をよくしていく技術につながっていくはずです。そのISSに独自の「きぼう」日本実験棟、そして宇宙ステーション補給機HTVをもつ日本。今後さらに10年間、ISSを、幅広い技術実証、実験の場として利用し、科学技術立国として発展していくことを期待しております。
JAXA宇宙飛行士 山崎直子(STS-131ミッション)