アポロ着陸の足跡が鮮明に 月探査機が低高度から撮影
【2011年9月7日 NASA】
NASAの月探査機がとらえた、1960〜70年代のアポロ計画着陸地の新画像が公開された。低い高度からの撮影により、2009年の同地点の画像より格段に鮮明なものとなっている。
NASAの月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)が、アポロ12号、14号、17号の着陸地を撮影した。
LROは2009年にもこれらの地点を撮影しているが、今回はさらに低い高度から精細にとらえている。
それぞれの画像には、残された着陸機の降下段(descent stage)と、そこからのびた2輪の月面ローバーのわだちや宇宙飛行士が歩いた跡が写っている。鮮明になったことにより、それぞれの区別がはっきりつくようになった。
その先にあるALSEP(アポロ月面実験パッケージ)は、月の環境や内部を計測するために設置した計測機器だ。アポロ計画にとっての重要ミッションで、月面の気圧、大気の組成や月の内部構造を知るのに役立てられた。
画像1枚目は現時点で最後の有人月着陸となっているアポロ17号(1972年12月)のもの。ハリソン・シュミットとユージン・サーナンが楽しげに歌いながら月面を歩く姿はドキュメンタリーなどでもおなじみだ。
2枚目のアポロ12号(1969年11月)の着陸地画像では、中央やや上側にあるALSEPの周囲に、機器同士をつなぐケーブルが光を反射してできたL字形の明るい線が見られる。
3枚目のアポロ14号(1971年2月)では、アラン・シェパードが人類初の月面ゴルフをしてみせた。
下記〈参照〉リンク先では、画像中央の白いバーを左右にずらして2009年のものと今回の画像を比較できる。
今回の撮影では、平均高度は変えずに低い高度で昼側を通過するような楕円軌道にLROの軌道を変え、いつもは高度50kmで通過するところを21kmで通過した。月の周期1回分にあたる28日間この軌道をとり、月面全体を詳しく撮影したあと、通常の軌道に戻った。
LROは2009年6月に打ち上げられ、1年の探査ミッションの後、科学的な調査を続けている。