2つの光で描き出す巨大銀河「ケンタウルス座A」
【2012年4月10日 ESA】
巨大電波銀河「ケンタウルス座A」の形成の秘密が、異なる波長で観測を行う2機の宇宙望遠鏡「ハーシェル」と「XMMニュートン」によって解き明かされようとしている。巨大な楕円銀河の中に残る渦巻き銀河状の構造や、超大質量ブラックホールの存在を示す強烈なジェットなどがとらえられた。
2機の宇宙望遠鏡、赤外線天文衛星「ハーシェル」とX線天文衛星「XMMニュートン」の観測データを組み合わせて、巨大銀河「ケンタウルス座A」に起きている劇的な現象がとらえられた。この観測により、ケンタウルス座Aは古い銀河2つが起こした激しい衝突の産物である可能性が高まっている。
ケンタウルス座Aは、巨大楕円銀河としてはもっとも近い約1,200万光年の距離にある。その中心核には超大質量ブラックホールが潜んでおり、強烈な電波を放っているため、常に注目を浴びている天体である。
可視光の画像に見られるケンタウルス座Aの真ん中を横切っている巨大な黒いダストの帯(画像1枚目)が、ハーシェルの遠赤外線観測ではきれいに消えている(画像2枚目)。以前の可視光観測から複雑な内部構造を持っていることが知られていたが、今回の観測で渦巻き銀河のような円盤が内部に存在することが確認された。過去に楕円銀河と衝突してできたものと考えられる。
画像にはその他にも、銀河中心での活発な星生成のようすや、銀河核から噴き出す2本のジェット(長い方は1万5,000光年にもおよぶ)がとらえられている。
XMMニュートンは、明るい銀河核から1万2,000光年にわたって噴き出すジェットが放つX線をとらえている(画像3枚目)。画像では、ジェットが周囲の星間物質とぶつかるようすのほか、活発な銀河核や巨大なガス状ハローが映し出されている。
こうしたジェットの姿は、この銀河の中心に太陽の1,000万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールがあることを示す証拠である。
ブラックホールと星の誕生、銀河の衝突など、宇宙のドラマが1つの天体につめこまれたケンタウルス座Aに、新たな光を当てた観測成果となった。