火星内部を探る「インサイト」計画 2016年に予定
【2012年8月22日 NASA (1)/(2)/(3)】
NASAは20日、新しい太陽系探査計画として火星探査機「インサイト」を選定したと発表した。探査開始目標は2016年9月で、火星地下を初めて直接調査する。探査車「キュリオシティ」の動向もあわせて紹介。
今回新しく選定されたのは、2016年に打ち上げが予定される火星探査機「インサイト」。「インサイト」とは「地震調査、測地学および熱移動による内部探査(Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transport)」の略語でもある。
2008年に火星で初めて水の氷の存在を発見した探査機「フェニックス」(2010年運用終了)の設計を踏襲し、フランスやドイツも観測機器を担当する共同計画だ。2年のミッション期間で、5m掘削による地熱測定や、測地機器による自転軸決定などを行う。
「地下を調査すれば、太陽熱に直接左右されない、内部からの地熱を測定することができます。火星の1年間、地球で言えば2年間にわたってこの惑星の“脈”を測ることで、火星が出来上がっていった過程について理解するチャンスが得られるのです」(プロジェクトメンバーのSue Smrekarさん)。
新計画の候補にはほかに、土星の衛星タイタンのメタンの海を調査する「TiME」や彗星の周回軌道と地表を往復移動する「コメット・ホッパー」が挙げられていた。
準備体操中の「キュリオシティ」
6日に火星への着陸に成功し、本格的な探査開始のための準備を整えつつある探査車「キュリオシティ」。計測機器のテストも着々と進んでいる。
スペインチームが担当する環境観測システム「REMS」では、気温、地表温度、気圧、風速などが計測され、そのデータを火星の天気速報ページで見ることができる。2つの風速計のうち1つからはデータが届いておらず、着陸時に小石などがぶつかった影響ではないかとみられている。
ロシアの水探知機「DAN」は、地表下1mの深さまで中性子を打ち込みその散乱により水素を探す。石油探知の技術を用いているが、宇宙探査で使われるのは初めてのことだ。
また、ロボットアームや車輪の動作確認の様子も搭載カメラで撮影された(画像)。1、2日以内に初めてのドライブが待っている。