土星の環を太陽に透かして見れば
【2013年10月22日 NASA】
NASAの探査機「カッシーニ」が、太陽光を背景にした土星とその環を撮影した。通常は淡く暗い環が明るく光るという、いつもとは違った姿がとらえられている。
太陽系の惑星のうち2番目の大きさを誇る土星は、地球から小口径の天体望遠鏡でも確認できるほど明るく幅広い環(リング)を持っている。昔から知られていた目立つリングだけではなく、淡く見えにくい環も近年新しく見つかっている。こうした淡いリングを詳しく探るため、NASAの土星探査機「カッシーニ」が太陽の裏側から土星とその環を観測した。
いわば逆光の状態で撮った観測画像は、地球から見たおなじみの姿をネガ像にしたようなものだ。たとえば、もっとも幅が広いBリングは、混じりっけのないきれいな氷が光を反射して普段はよく目立つが、裏側から見ると光がさえぎられて暗い。反対に、もっとも内側のDリングや外側のE、G、Fリングはひじょうに細かい粒子でできており太陽光をあまり反射しないが、裏側からはヘッドライトを当てた霧のように明るく見えている。
赤外線は物質の放つ熱を見るので、暗く見えるはずの土星の夜側も光っている。こうした赤外線データの解析から、それぞれの環を構成する粒子の大きさや組成など、さらに詳しいことがわかるという。