液体の水を示す証拠? 火星の黒い筋模様
【2014年2月12日 NASA】
3年前に火星で発見された黒い筋模様は、火星に液体の水が存在している証拠かもしれない。様々な可能性を検証しながら、研究が進められている。
3年前火星で発見された黒い筋模様は「Recurring Slope Lineae:RSL(繰り返し現れる斜面の筋模様)」と呼ばれ、現在火星研究者の間でホットなキーワードとなっている。
米・アリゾナ大学の学部生だった3年前にこのRSLを発見したLujendra Ojhaさん(ジョージア工科大学院生)は「液体の水の決定的な証拠はまだRSLで見つかっていませんが、水分なしでどうやって現われるかもわからないんです」という。
Ojhaさんらは今回、NASAの火星探査機「マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)」の画像データから、RSLが現われそうな中緯度付近の岩石質の崖を200箇所探し、RSLが見られる13地点を見つけた。そしてRSLが残しているかもしれない鉱物などをスペクトル観測で調べ、この筋模様の発生に水が関連するかどうかを検討した。
塩や水の存在につながる材料は見つからなかったが、ほとんどの地点で、鉄や鉄を含む鉱物がRSLのない斜面よりも豊富だった。またRSL自体と同様、暖かい季節ほど鉄の鉱物の量も多くなるようだ。
1つの可能性としては、粒子の大きさによる寄り分けが地表で起こったことが挙げられる。これは水がなくても可能だ。あるいは、鉱物の酸化や水分の存在で色が変わった場合も考えられ、これらは両方とも水の存在を示唆する。ただし直接水分は検出されていない。観測範囲や観測時間帯(午後に限られている)の問題で、見過ごされている可能性もある。
そしてもっとも有力なのが、氷点の低い塩水が液体のまま流れたという説だ。「水の流れが見つかったとなれば、それが塩水であっても、大発見でしょう。火星における現在の気候変動への理解にインパクトを与えるだけでなく、表面近くに生物が生きられるような環境が存在する可能性を示すものです」(NASAのMRO研究員Richard Zurekさん)。