火星に今でも液体の水が流れている証拠を発見

【2006年12月8日 JPL News Releases

マーズ・グローバル・サーベイヤーがとらえた2つの峡谷の画像から、現在でも火星に液体の水が流れていることを示す有力な証拠が発見された。


(マーズ・グローバル・サーベイヤーがとらえた新しい堆積物の画像)

(左)1999年8月の画像、(右)2005年9月の画像。右側の2005年のマーズ・グローバル・サーベイヤーの画像には、新しい堆積物がとらえられている。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/Malin Space Science Systems)

(マーズ・グローバル・サーベイヤーがとらえた新しい堆積物周辺の拡大画像)

マーズ・グローバル・サーベイヤーがとらえた新しい堆積物周辺。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Malin Space Science Systems)

(マーズ・グローバル・サーベイヤーがとらえた新しいクレーターの画像)

マーズ・グローバル・サーベイヤーがとらえた新しいクレーター。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Malin Space Science Systems)

残念ながら今年11月から交信が途絶えており、復旧が試みられているマーズ・グローバル・サーベイヤーだが、画像の分析から、2つの峡谷で数百メートルにわたり液体の水が運んだと考えられる新しい堆積物が発見された。1999年当時の画像には、このような形跡はとらえられていないことから、ここ7年以内に形成されたものと考えられている。この発見についてNASAの火星探査計画の首席科学者を務めるMichaek Meyer博士は「これは、今でも火星で液体の水が流れていることを示す有力な証拠です」と話している。

マーズ・グローバル・サーベイヤーは、2004年、2005年にも同様の堆積物をとらえている、しかし、1999年の画像にその存在はとらえられていない。堆積物は、水の流れによって物質が運ばれたような形状をしており、起伏の高いところから低いところへ向かって、小さな障害物によって進路を阻まれながら進み、支流を広げていったようだ。その形が、ちょうど指を広げた人間の手のように見えている。

火星の表面温度は低すぎて、水は長い間液体の状態でとどまることはできないことから、研究家は、堆積物を運んだ水は地下から噴出したものではないかと考えている。この場合、水は地表を土石流となって流れるため、完全に凍ってしまうまでの間、液体の状態を保てるというのだ。

発見された堆積物は、全長数百メートルにわたって流れた跡となっており、表面は明るい色調を見せている。この色については、表面が霜で覆われているか、または塩分が濃いために表面が固まっているとも考えられている。堆積物が乾いたちりでないことは、火星探査車の通った跡や火星の竜巻の通り道、さらに新しいクレーターなどがいずれも暗い色としてとらえられていることからもわかっている。

マーズ・グローバル・サーベイヤーによる今回の発見によって、微生物のような生命体の存在に期待が高まっているが、新たな発見は次なる疑問を生じさせる。液体の水は火星の地下でどのようにして存在しているのか、また、その水はどの程度の範囲にまで広がっているのか、さらに生命の生育を助けるような環境が火星の地下に存在するのか、などだ。しかし、これら疑問の答えは、将来の火星探査を待たねばならない。

なお、マーズ・グローバル・サーベイヤーは、堆積物以外にも20個の新しいクレーターを発見している。これらは火星上の地形の年代決定に役立てられるだろう。

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