ロシアの多目的実験モジュール「ナウカ」がISSにドッキング

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ロシアの多目的実験モジュール「ナウカ」が7月29日に国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。予期せぬスラスターの噴射によりISSの姿勢が大きく傾いたものの、現在は正常化している。

【2021年8月5日 ROSCOSMOS(1)(2)(3)(4)NASA Blog - Space Station

国際宇宙ステーション(ISS)にロシアのモジュールが久しぶりに加わった。ロシアの国営企業ロスコスモスが開発した多目的実験モジュール(MLM)「ナウカ(Наука/Nauka)」(「科学」の意味)が7月21日(日本時間、以下同)にカザフスタン・バイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、何度かの軌道修正を経て、29日22時29分にISSのロシアのモジュール「ズベズダ(Zvezda)」にドッキングした。これに先立ち、これまで約20年間ズベズダにドッキングしていたロシアのモジュール「ピアース」がISSを離れ、大気圏に再突入している。

ナウカの打ち上げ
ナウカの打ち上げ(提供:ROSCOSMOS)

ドッキング直後のナウカ
ズベズダにドッキングした直後のナウカ(中央)、左下はソユーズ宇宙船(MS-18)(提供:NASA)

ナウカのドッキング後、結合部の気密が保たれているかを確認する作業などが行われていた。そのなかでドッキングから約3時間後の30日1時45分に、ナウカのスラスターが意図せず噴射していることに飛行管制チームが気づいた。ロスコスモスの発表によると、一時的なソフトウェア障害により誤ってナウカのスラスターを噴射させるコマンドが実行されたことが原因だという。

ISSは一時姿勢を崩して大きく傾いたため、ズベズダからは逆向きにエンジンが噴射されるなどしたが、最終的に管制チームはISSの姿勢制御を取り戻した。事後の分析により、ISSは最大で540度傾いた、つまり1回転半していたことが明らかになっている。ただし、ISSの加速はゆっくりとしたものだったため、船長の星出彰彦さんら7名の宇宙飛行士に危険はなかったという。

ロシアのモジュールがISSへ結合するのは2010年のラスベート以来11年ぶり、大型のモジュールとしては2000年のズベズダ以来21年ぶりとなる。ナウカのISSへの統合作業は今後6か月以上かけて続けられ、その間に10回ほどの船外活動が予定されている。

国際宇宙ステーションの構成
現在の国際宇宙ステーションの構成。矢印は左上から時計回りに、米・スペースX社の宇宙船クルードラゴン2、ロシアの無人補給船プログレス78(MS-17)、ナウカ、ロシアのソユーズ宇宙船(MS-18)(提供:NASA)