無名の太陽系天体としては最大、太陽系外縁天体2007 OR10
【2016年5月17日 NASA JPL】
準惑星は、火星軌道と木星軌道の間の小惑星帯に位置するケレスを除いて、すべて海王星より遠いところに位置している。遠いことに加えて小さく低温であるために観測が困難で、謎に包まれた部分が多く、正確な大きさについてもはっきりしていない天体が多い。たとえば、光の点が小さくて明るい天体なのか大きくて暗い天体なのか、わからないのだ。
2007年7月に発見された太陽系外縁天体「(225088) 2007 OR10」もそうした、遠くにあって正確な大きさが不明だった天体の一つだ。NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」とヨーロッパ宇宙機関(ESA)の赤外線天文衛星「ハーシェル」の観測データから、2007 OR10の直径が1535kmと計測された。従来の見積もりより250kmほど大きく、まだ(符号ではない)名前が付けられていない太陽系天体としては最大のものとなる。
2007 OR10は準惑星候補天体でもあるが、他の準惑星と大きさを比較すると、冥王星やエリスよりは小さいがマケマケよりも大きい。また、ハウメアは横長で長軸は2007 OR10より長いが、体積は2007 OR10のほうが大きい。
従来の2007 OR10の大きさは、ハーシェルによる赤外線観測データだけに基づくものであり、全体の明るさや大きさの正確さには限度があった。ケプラーが2007 OR10のわずかな光度変化をとらえ、約45時間という非常にゆっくりした自転周期を観測したことによって、天体の詳細なモデルを作ることができ、正確な大きさや反射率がわかったのだ。
2007 OR10が大きいということは表面が暗いことを示唆しており、明るい冥王星などとは性質が異なっている。地上観測から2007 OR10赤い色をしていることが知られており、メタンの氷によるものとみられている。「直径の見積もりが大きくなったことで、この天体が本来は失われやすい揮発性のメタンや一酸化炭素、窒素の氷で覆われている可能性が増してきました。遠く離れた新たな世界のことが少しずつわかってきて、実にスリリングです」(ハンガリー・コンコリー天文台 András Pálさん)。
〈参照〉
- NASA JPL: 2007 OR10: Largest Unnamed World in the Solar System
- The Astronomical Journal: LARGE SIZE AND SLOW ROTATION OF THE TRANS-NEPTUNIAN OBJECT (225088) 2007 OR10 DISCOVERED FROM HERSCHEL AND K2 OBSERVATIONS 論文/プレプリント
〈関連リンク〉
- 系外惑星探査衛星「ケプラー」: http://kepler.nasa.gov/
- ESA: http://www.esa.int/
- 星ナビ.com こだわり天文書評:
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