大西さんISSに到着、長期滞在を開始

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7月7日に宇宙へ飛び立った日本人宇宙飛行士の大西卓哉さんたちが、9日13時ごろに国際宇宙ステーションに到着し、約4か月間の長期滞在を開始した。

【2016年7月11日 JAXA

7月7日(木)にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた、大西卓哉さんたち3人の宇宙飛行士を乗せたソユーズ宇宙船は、9日(土)13時6分(日本時間、以下同)に国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングした。最近のソユーズは打ち上げからわずか6時間でISSとドッキングするものもあったが、今回は新型ソユーズの初飛行で機能確認に念を入れるため、2日間かけて地球を34周するフライトとなった。

ドッキング後、ソユーズ機内からの空気の漏れがないかどうかを確認する「リークチェック」や、ISSとソユーズの気圧調整などが行われ、15時53分にハッチがオープンして大西さんたちがISSに入室した。

入室直後、滞在中のクルーと抱き合う大西さん
入室直後、滞在中のクルーと抱き合う大西さん(提供:JAXA/NASA、以下同)

入室後まもなく行われた地上との交信で、大西さんは次のように第一声を発している。「フライト中もまったく問題なく、ここまで順調に来れましたし、無事(船長の操縦を補佐する)レフトシーターの責務を果たせたかなと思っています。これまでの2日間思った以上に順調で快適な宇宙の旅でした。たっぷり寝れたし、機内食もおいしかったし、明日からまた頑張りたいと思います」

地上との交信時、笑顔で手を振る大西さん
地上との交信時、笑顔で手を振る大西さん(右)

大西さんは約4か月にわたるISS滞在中に、ISS最大の実験モジュールである「きぼう」内でしか行うことのできない実験を行う。その結果は、副作用の少ない薬品の開発などに役立てられる。そのほか、ISSのメンテナンス作業や新システムの設置なども行う。

また、ISSに使用されている電池が劣化してきているため、今年の秋ごろにリチウムイオン電池が日本の輸送機「こうのとり」によってISSに運ばれるが、この「こうのとり」のキャプチャーや取り付けも大西さんが担当するかもしれない。日本の技術が採用された電池により、使用数を従来の12個から半分の6個に抑えることが可能になるが、6個の電池を一気に運べるのは「こうのとり」のみだ。「こうのとり」打ち上げ時まで大西さんがISSに滞在するかどうか次第ではあるが、JAXAでは大西さんにこの任務を任せるべく準備を進めており、約1か月以内に正式発表されることになっている。

JAXA理事長 奥村直樹さん談話

大西卓哉宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在開始について

本日、ソユーズ宇宙船(47S/MS-01)が国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングし、大西宇宙飛行士は自身初めてとなる長期滞在を開始しました。

大西宇宙飛行士は、2009年に油井宇宙飛行士、金井宇宙飛行士とともにISSに搭乗する日本人宇宙飛行士の候補者として選抜され、「きぼう」日本実験棟の運用開始以降に誕生した新たな世代の宇宙飛行士です。2013年に第48次/第49次ISS長期滞在搭乗員に任命され、先に長期滞在任務を完遂した油井宇宙飛行士から「たすき」を受けつぎ、これまでに日本が積み重ねてきた確かな技術と存在感を継承し、日本にしかできないミッションを確実に遂行してくれるものと信じております。

今回のISS長期滞在では、健康長寿社会の形成等、国の科学技術イノベーション政策に貢献することが期待される小動物の長期飼育に初めて取り組み、高品質タンパク質結晶生成実験では、民間の利用拡大に取り組みます。大西宇宙飛行士の活躍、日本特有の創意工夫により、「きぼう」日本実験棟利用による素晴らしい利用成果を創出することを期待しております。

これまで多くのご協力、ご支援をいただきましたアメリカ航空宇宙局、ロシア国営公社ロスコスモスをはじめとする国内外の関係機関の皆様方及び国民の皆様に心からお礼を申し上げますとともに、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。