おうし座流星群を出現させる流星体の支流を新発見
【2017年6月9日 Astronomical Institute of the Czech Academy of Sciences】
流星群とは、彗星や小惑星などが放出した塵の流れの中に地球が突入することにより、同じような軌道を持つ複数の流星が見られる現象で、100個程度の存在が知られている。
そのうちの一つ、おうし座流星群は毎年10月から11月にかけて活動を見せる流星群で、エンケ彗星から放出された塵がもとになっていると考えられている。例年の出現数はさほど多くはないが、数年に一度、活動が活発になる年があり、その際には特に「火球」と呼ばれるような明るい流星が多く出現する。
2015年におうし座流星群が活発になった際、チェコ科学アカデミーのPavel Spurnýさんたちの研究チームはチェコ、オーストリア、スロバキアの15地点で観測された144個の火球について軌道を解析した。
その結果、おうし座流星群を出現させる、エンケ彗星由来ではない新たな流星体(流星のもと)の流れがあること、その中には数mmサイズの小さい塵から、軌道が似た直径数百mサイズの小惑星も含まれていると考えられることがわかった。小惑星2015 TX24や2005 UR、2005 TF50などが有力とされており、他にも未発見のものがあるかもしれないという。
この流星体の流れは太陽の周りを公転しているため、数年に一度の割合で地球がこの流れに3週間ほど接近すると、数十m規模の天体が地球に衝突する可能性が高まる。これらの天体はもろいが、サイズが大きいために地球に危険をもたらす可能性もあるという。
論文では、地球に大きな被害を及ぼす可能性のある天体についてのさらなる研究が必要だと述べられている。
〈参照〉
- Astronomical Institute of the Czech Academy of Sciences:A newly discovered branch of the Taurid meteoroid stream contains hazardous asteroids
- Astronomy and Astrophysics:Discovery of a new branch of the Taurid meteoroid stream as a real source of potentially hazardous bodies 論文
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