プレアデス星団の星々の変光
【2017年9月1日 RAS】
ギリシア神話に登場する7人姉妹「プレアデス」、日本では「すばる」として知られている、おうし座のM45プレアデス星団は、地球からおよそ440光年の距離に位置する若い星々の集団だ。
星団を構成する星々は肉眼でも見えるほど明るく、天文ファンにとっては嬉しいことだが、研究者にとっては(暗い光を観測するための望遠鏡で見るには)明るすぎる。そこでデンマーク・オーフス大学のTim Whiteさんたちの研究チームは、こうした明るい星を観測するための手法「ハロー測光(Halo Photometry)」を開発し、観測衛星「ケプラー」を用いてこれまでで最も詳細にプレアデス星団の星々の変光を調べた。
観測によれば、プレアデス星団の明るい7つの星のほとんどは、数日周期で明るさが変化するB型脈動星である。この変光周期は星の中心で起こる、よくわかっていないプロセスを明らかにするための鍵となる。
そして、「マイア(Maia)」だけは変光周期が10日と長い。これまでの研究でマイアは、表面にマンガンなどの元素が異常な濃度で存在する種類の星の一つであることが示されている。このことが変光周期と関連があるかどうかを調べるため、スペイン・テイデ天文台のヘルツシュプルングSONG望遠鏡を使った分光観測が行われた。
「ケプラーが観測した明るさの変化が、大気中のマンガンによる吸収の強さの変化と密接に関係していることがわかり、変光は星の表面にある元素から成る巨大な斑点によって引き起こされているとの結論に至りました。星の自転に合わせて斑点が10日の周期で見え隠れしているのです」(オーフス大学 Victoria Antociさん)。
「60年前の天文学者は、マイアが数時間の周期で脈動する新しい種類の変光星『Maia variables(マイア型変光星)』の第1号ではないかと考えましたが、私たちの観測によってマイアはそのようなタイプの変光星ではないことが示されました」(Whiteさん)。
Whiteさんたちが開発した新しいアルゴリズムでは、ケプラーや2018年打ち上げ予定のNASAの系外惑星探査衛星「TESS」、「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」を使って明るい恒星を巡る系外惑星を検出するのに必要とされる精度を達成している。太陽系に最も近い恒星「リギルケンタウルス星系」など太陽系に近く明るい恒星を、系外惑星探しの最高のターゲットとすることができそうだ。
〈参照〉
- RAS News&Press:Kepler satellite discovers variability in the Seven Sisters
- MNRAS:Beyond the Kepler/K2 bright limit: variability in the seven brightest stars of the Pleiades 論文
〈関連リンク〉
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