「かぐや」、月の磁場異常や地層構造にせまる観測機器も正常
【2007年11月30日 宇宙科学研究本部】
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「かぐや(SELENE)」に搭載されている月磁場観測装置(LMAG)および月レーダサウンダー(LRS)の機能確認を行い、自然電波観測モードで正常に動作することを確認した。
JAXAは、「かぐや」に搭載している観測機器の機能確認の一環で、月磁場観測装置(LMAG)による観測を10月29日に実施した。その結果から、この装置が月の磁場を計測するのにじゅうぶんな精度(0.1nT以下、1nT(ナノテスラ)は日本における地磁気強度の約10万分の2)を持っていることを確認した。
月磁場観測装置(LMAG)とは、地球磁場の10万分の1より小さな磁場まで観測できる磁力計である。月の磁場の方向と強さを測定し、表面の磁気異常の成因や、40億年前の月に磁場が存在していたかどうかなど、月の内部で起きてきた進化を明らかにするためにデータを収集する。
また、翌30日には、月レーダサウンダー(LRS)の機能を確認するのための観測を実施した。この機器は、表層から地下数キロメートルにいたる地層構造の探査を行うためのものだ。
その結果、探査に使用する4-6MHz帯でのノイズをはじめ、数MHzおよび10MHz以上の周波数帯域のノイズもじゅうぶんに低く、この装置が目指す地下数キロメートルにわたる構造の探査が可能であることを確認した。また、木星等の惑星電波の観測も可能であることも確認した。