木星の縞が1本消失?
【2010年5月19日 The Planetary Society Blog】
木星の表面から赤道縞の1本が完全に消えていることが、今月初めに撮影された画像で明らかになった。この現象は3年から15年の周期で起こることが知られているが、発生のメカニズムなど詳しいことはわかっていない。このような変化は、地球の11倍という巨大サイズのガス惑星でダイナミックな大気変動が起こっている証拠といえる。
木星といえば、表面に見られる2本の縞模様(北赤道縞と南赤道縞)と大赤斑が大きな特徴だ。縞模様(縞や帯)が黄色や茶色、白色をしているのは、緯度によって風が異なる上下方向へ吹いているからである。また木星で吹いている風は時速数百kmという暴風であるため、アンモニアやメタンなどからなる雲の形はたえず変化している。
現在、木星では、おなじみの赤道縞の1つが消えて、トレードマークの大赤斑がぽつんと取り残されたように見えている。天体観測に慣れている人ならば、それほど口径の大きくない望遠鏡でも、茶色っぽい色をした帯を失った木星の姿を確認することができるはずだ。
木星では、3年から15年の周期で赤道縞の消失が起こることがわかっている。今回消失の兆しが見え始めたのは昨年の中ごろで、今年5月に入って縞は完全に見えなくなってしまった。消失のメカニズムや復活のタイミングなどはわかっていないが、赤道縞をつくっている雲の温度が低下すると高度が落ち、上層に流れ込む雲によって隠されてしまうのかもしれない。
また、近年木星では、300年以上前から観測されている大赤斑が縮小しつつあることが観測されている。昨年には大赤斑の色の変化が見られるなど、巨大なガス惑星は変化し続けている。現在木星は、明け方の東の空に見ることができるので、いつもの見慣れた木星とは一味違う姿を観測してみてはいかがだろうか。