すばる望遠鏡が捉えた、恒星の周りの小さな腕
【2011年10月28日 すばる望遠鏡/NASA】
太陽に似た質量を持つ若い星の周りの円盤に、小さな腕が2本ある様子を「すばる望遠鏡」が捉えた。この腕の中にはまだ観測できていない惑星が存在している可能性があり、新しい系外惑星探査の方法の1つになるかもしれない。
今回観測されたSAO 206462は、おおかみ座の方向に約456光年離れたところにある8.7等級の恒星だ。誕生からの年齢は約900万年と推定されており、恒星の周囲には直径220億km(冥王星軌道の約2倍)の円盤が広がっている。
ハッブル宇宙望遠鏡などによるこれまでの観測でSAO 206462に円盤があるらしいことはわかっていたが、今回のように腕がはっきりと撮影できたのは、この天体では初めてのことだ。
このような腕や原始惑星系円盤を撮影する際は、中心にある恒星が明るすぎる影響を減らすため、中心星をマスクする(隠す)コロナグラフ撮像装置というものを使う。すばる望遠鏡には高コントラストコロナグラフ撮像装置(HiCIAO)が搭載されており、周囲にある暗い天体や構造を見ることができる。今回の成果もこのHiCIAOを利用してすばる望遠鏡の性能を限界まで引き出した結果の成果である。
原始惑星系円盤の中に惑星が存在していると円盤に環ができることが、計算機によるシミュレーションから知られている。今回の2本の腕についても、まだ観測できていない2つの惑星が円盤の中に存在しているかもしれない。
この研究結果は、すばる望遠鏡を用いて集中的に系外惑星や円盤を探査するSEEDSというプログラムの一環として得られたものだ。このように円盤の構造を見ることが、新しい系外惑星探査の方法の1つになるかもしれない。