火星探査車が見つけた丸い小石
【2012年10月1日 NASA (1)/(2)/(3)】
NASAの火星探査車「キュリオシティ」が、川の流れによって運ばれてきたと思われる丸い小石を見つけた。周辺地域の地形とあわせて、かつて水が存在した過去を探る手がかりとなる。ベテラン探査車「オポチュニティ」も、不思議な粒状物質を発見している。
「キュリオシティ」が発見したのは、むき出しになった礫岩の周囲の小石だ(画像1枚目)。その大きさは、砂粒程度からゴルフボールまでさまざま。角ばったものもあるが、多くは丸い形をしている。その形からは小石がどこかから運ばれてきたことが、そしてそのサイズからは風ではなく水の流れによって運ばれたことが、それぞれうかがえる。
画像を解析してこの流れがどのようなものであったかを推定したところ、深さは人間の足首からお尻あたり、速さは秒速0.9mぐらいだという。
火星地表の流れの痕と思われる溝状地形についてはこれまでも多々研究されてきたが、実際に水によって運ばれた石が直接見つかったのはこれが初めてのことだ。
発見場所は、ゲール・クレーター(直径154km)の北端の崖縁からクレーター内部に向かって広がる扇状地の先にある領域だ(画像2枚目)。地球で見られるこうした扇状地は、ほとんど場合水の流れで作られる。ということは、今回キュリオシティが見つけた小石は、この領域に水が流れていたことを示す強い証拠となる。
その形から察するに、小石はクレーター縁上の高地から長い距離を運ばれてきたのだろう。また扇状地の先端付近に見られる溝状地形から、その流れが一時的なものではなく、長期にわたって存在していたものであることがうかがえる。
キュリオシティは石の元素組成を分析し、この地形が作られた環境について調べる予定だ。元あった場所であるクレーターの縁周辺のサンプルともなるため、多くを調べればさらに広域レベルでの地形調査につながるかもしれない。
キュリオシティは2年間のミッションでゲール・クレーター中央丘の「マウント・シャープ」を目指しながら、クレーター内にかつて微生物に適した環境が存在したかどうかを探っていく。
「オポチュニティ」が見つけた謎の小球体
8年目を迎える火星探査車「オポチュニティ」は、直径22kmのエンデバー・クレーター西縁にある「マティアビッチ・ヒル」で、直径3mm以下の小球体を大量に発見した。
同探査車がこれまでに発見した小さな球形の石「ブルーベリー」と似ているものの鉄の含有量が異なる別物らしく、その成因についてはブルーベリーと組成が異なる鉱物が固まってできた、火山灰が固結した、あるいは天体衝突によりできた、など様々な仮説が考えられている。
オポチュニティチームでは、今後の探査によりそれぞれの仮説を慎重に検証していくという。