観測チャンスは1分 星食が教える準惑星マケマケの姿
【2012年11月22日 ヨーロッパ南天天文台】
太陽系の小天体が背後の星を隠す「星食」は、その天体について情報を得る絶好の機会だ。冥王星とともに準惑星に分類されるマケマケの星食観測から、謎につつまれたその姿があらわになってきた。
2011年4月23日に、準惑星マケマケがかみのけ座の恒星NOMAD 1181-0235723を隠す様子が南半球で観測された。José Luis Ortizさん(スペイン・アンダルシア宇宙物理学研究所)らは、この1分間ほどの現象をチリとブラジルの望遠鏡でとらえた。
背後の星の光がマケマケに隠され、また現れる瞬間、その光の変化は徐々にではなく急激なものだった。それまでマケマケには冥王星と同じく大気があるのではと考えられていたが、この結果から、少なくとも全球規模では存在しないということが明らかになった。
今回の星食観測でわかったのは大気の有無だけではない。ほんのわずかなことしかわかっていなかったマケマケについて、表面のアルベド(光反射率)が泥まじりの雪程度であること、密度が1.7g/cm3(誤差0.3g)であることが新たにわかった。また大きさは1430km(誤差9km)×1502km(誤差45km)で、極方向が少しつぶれた扁球形であることも推測できる。
これらはすべて、星食が起こらなければ得られなかった情報だ。マケマケは比較的背後の星が少ない領域の方向にあるため、星食はなかなか起こらない。現象を正確に予測し観測することは非常に難しく、南米各地での観測協力体制がうまくいった今回のようなケースは大きな成果といえる。