イオで起こった3度の大規模噴火

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【2014年8月5日 NASA

木星の衛星イオは、地球以外で唯一、活火山活動が観測される天体だ。そのイオで1年前にあいついだ大規模噴火を、ハワイ・マウナケア山頂の望遠鏡群が観測した。


2013年8月に発生したイオの大規模噴火

2013年8月15日と29日にとらえられたイオの大規模噴火。クリックで拡大(提供:Imke de Pater and Katherine de Kleer/UC Berkeley/Gemini/Keck)

木星の衛星イオで2013年8月、3度にわたる大規模な噴火が起こった。イオの南半球で15日に発生した2度の噴火は、米・ハワイのケックII望遠鏡で観測された。噴火口からあふれ出たマグマが一気に溶岩流となって広がり、1度目は面積約130km2、2度目は310km2にもわたって厚さ10mで流れ出たとみられる。

8月29日に北半球で起こった最大級の噴火は、ジェミニ北望遠鏡と赤外線望遠鏡施設(IRTF)でとらえられた。地球で現在見られる火山噴火よりはるかに高温であることから、誕生したばかりのころの地球に存在した火山に近いマグマ組成と考えられる。この現象の際には、イオの大気構造に対する噴火の影響についても調査が行われ、日本の惑星観測衛星「ひさき」も含めて複数の望遠鏡が同時観測を行っている。

この研究では、分光観測からマグマの噴出量を推算するモデルも編み出された。原始の地球などの岩石惑星で地表が形作られていったプロセスを知る手がかりになるだろう。

イオは地球以外で活火山の存在が知られる唯一の太陽系天体だ。最初に火山が見つかって以来、溶岩噴泉の発生が観測されているが、継続的な観測研究があまり盛んでないので、観測サンプル数は2006年までの約30年間で13件と多くない。研究者らは、イオを恒常的に観測することで、イオや原始惑星の火山活動についてさらに詳しくわかるのではと期待している。

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