木星の衛星イオのダイダロス火山、太陽系最大級の活動

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【2014年6月23日 東京大学

東京大学アタカマ1m望遠鏡によるモニタ観測で、木星の衛星イオにある「ダイダロス火山」の大規模な活動がとらえられた。小型の地上望遠鏡ながら、周期的な明るさの変化から火山活動の場所をつきとめるという新たな手法が実を結んだ重要な成果だ。


ボイジャー1号が撮影したイオの火山性噴出

1979年にボイジャー1号が初めて撮影したイオの火山性噴出(画像左)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/USGS)

自転にともなうイオの明るさの変化

今回の観測で得たイオの画像。自転にともない見せる面のうち経度277度で得られた画像が明るいことから、経度280度にあるダイダロス火山の活動であることが推測できた。クリックで拡大(発表資料より)

木星の周囲にある4つの大型衛星(ガリレオ衛星)は、小口径の天体望遠鏡でも小さな光る点として見ることができる。その1つイオでは、活発な火山活動が起こっていることが知られている(画像1枚目)。

東京大学大学院と東北大学大学院の研究グループは、チリに設置された東京大学アタカマ天文台1m望遠鏡を用いた中間赤外線観測(波長8.9μm)で、イオを2年間にわたり断続的に観測した。この波長は太陽の反射光の影響を受けにくく、火山活動を直接検知するのに有利だ。地球大気の水蒸気で吸収されやすいが、標高5640mのアタカマ天文台では安定して観測ができる。

1m望遠鏡ではイオの構造を画像として直接見ることはできない。だがイオの自転周期と明るさの変化をもとに活動の場所(経度)を推測し、2011年にダイダロス火山が活発に活動したことをつきとめた(画像2枚目)。火山の総放射エネルギーは10兆W()で、太陽系でも最大級の火山活動であることが推定される。

大型望遠鏡や探査機ではなく、より継続的な観測がしやすい小規模の地上観測装置でイオの火山活動がとらえられたのは初めてのことだ。惑星観測研究の新しい手法を確立したという意味でも重要な成果となる。

注:「地熱エネルギー」 参考比較として、地球の総地熱エネルギーは40兆W。地球形成時の余熱や核物質の崩壊熱として地球中心部に蓄積される地熱エネルギーは、地震や火山、プレート移動などの地殻現象に消費されている。イオの地熱エネルギーは、木星やほかのガリレオ衛星の重力でイオが強力な変形を受けることで生じているとされている。

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