彗星写真を仕上げる
ポイントは「尾を目立たせる」「頭部の白飛びを抑える」
2015年1月撮影のラブジョイ彗星(C/2014 Q2)。デジタル現像やトーンカーブ補正で仕上げた(460mm F4.6、ISO 2500、120秒×45枚/撮影:谷川正夫)。
鑑賞写真としての天体写真で重要なことには、ピントや構図等の撮影時に気を付ける基本的な内容のほか、背景の色のバランスや明度差の表現といった画像処理の時に気を付けるポイントもあります。
彗星写真の画像処理ではとくに、「イオンテイルの複雑な様子が表現できているか」「頭部の明るさが過剰ではないか」等に注意する必要があります。天体画像処理ソフト「ステライメージ9」の豊富な機能を使って、画像を「作品」に仕上げましょう。
デジタル現像
- 「デジタル現像」は、明るい部分(ハイライト)から暗い部分(シャドウ)までの階調をうまく引き出すための調整機能です。
彗星画像では頭部と尾の明るさに大きな差があるので、両方を上手く表現するために必須の処理プロセスです。 - ダイアログに表示される3つの▲を動かして、頭部から尾までよく見えるように調整します。
3つのうち下の▲を左に動かすと頭部の白飛びが少なくなります。頭部の輝きを表現できるように、ある程度ハイライトをキープすることが処理のコツです。
色彩調整とトーンカーブ
- 「Lab色彩調整」は、画像全体のホワイトバランスを変えずに、赤・緑・青・黄の各色を別々に強調できる機能です。
彗星画像では、コマの緑色や尾の青色を表現するのに有用です。 - 「トーンカーブ」は、画像の明るさやコントラストを調整する機能です。
曲線で自由に階調を変えることができ、最終の画像調整に必須です。
頭部から尾までコントラスト良く表現し、美しい画像に仕上げましょう。
- デジタル現像やトーンカーブ調整などを行う前に、周辺減光の補正や傾斜カブリ(月光や薄明等の影響で背景の明るさが不均一になること)の補正を行っておくと良いでしょう。
とくに傾斜カブリを残したママで処理を進めると、コントラストを強調した際にカブリも強調され、尾の淡い部分がつぶれてしまう等の影響が出てしまいます。
- 動画でもステライメージの活用法をご覧いただけます。
- 彗星の全体像の撮影では尾の振る舞いや形状の変化を、また長焦点による頭部の拡大撮影では核付近のジェットの様子を、画像処理で解析できるかもしれません。
- 彗星がどのような姿を見せてくれるのか、画像処理も含めて彗星撮影には醍醐味があり、興味が尽きません。
- 撮影計画の立案から撮影、画像処理まで、ぜひステラシリーズを活用してお楽しみください。