小さく深い、タイタンの湖

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探査機カッシーニによる探査データから、土星の衛星タイタンの北半球にある小さな湖の深さが100m以上であることが示された。湖は丘の頂上など高いところに存在している。

【2019年4月22日 NASA JPL

土星の衛星「タイタン」は、惑星である水星よりも大きな衛星であり、その表面にはエタンやメタンで満たされた湖や海が広がっている。表面に液体が安定的に存在するのは、太陽系では地球とタイタンだけだ。

タイタンの近赤外線カラーモザイク画像
カッシーニによるタイタンの近赤外線カラーモザイク画像。北極の海が太陽光を反射して輝いている(提供:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/University of Idaho)

2017年9月にミッションを終了したNASAの土星探査機「カッシーニ」は、同年4月22日にタイタンへの最後のフライバイ(接近通過)を行った。その際に得られたデータから、タイタンの湖について興味深い発見がもたらされた。

一つは、タイタンの北半球に見られる湖に関するものだ。これらの湖は差し渡しが数十kmほどと小さいが、深さは100m以上もあることが明らかになった。また、小さく深い湖はタイタンの西半分に存在し、丘や台地の頂上にあって標高が高いことも示された。東半分は標高が低く大きな海が存在することとは対照的な地勢である。湖も海も、ほとんどメタンで満たされている。

これらの小さく深く高い湖は、周囲の氷や土壌が溶けたり崩れたりして、残されたものだと考えられている。地球では、石灰岩が雨水に浸食されて「カルスト湖」が形成されるが、これと似たような地形とみられる。

もう一つの発見は、「一過性の湖」と呼ばれる地形に関するものである。レーダーや赤外線による探査データから、湖の液位が大きく変化することが示された。これはタイタンの季節変化に応じて、メタンが蒸発したり地下に浸透したりした結果、液位が下がって湖が浅くなるのだろうと考えられている。

蒸発したメタンは雲となり、雨になって地表に降り、地下にも広がっていく。こうした物質の循環がタイタンで起こっていることはこれまでにも知られていたが、今回の2つの成果は、その説を強く裏付けるものとなった。

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