ISS補給機「プログレス」にトラブル、ISSへのドッキングを断念

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4月28日に打ち上げられた宇宙ステーション補給機「プログレス」が制御不能に陥ったことについて、ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)はISSへのドッキング断念を公式発表した。

【2015年5月1日 NASA(1)(2)JAXA

ロシアの宇宙ステーション補給機「プログレスM-27M」は、食料や燃料を含めた約2tの物資を搭載して、カザフスタン時間の4月28日13時9分(日本時間同日16時9分)にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。

4月24日に撮影された打ち上げ前のプログレスM-27M
バイコヌール宇宙基地で4月24日に撮影された打ち上げ前のプログレスM-27M(提供:S.P.Korolev RSC Energia)

しかし、打ち上げ後に、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングするためのシステムおよびその他のナビゲーション・アンテナの展開を確認できないという問題が発生した。また、補給機が回転を起こしていることも明らかになった。

管制はテレメトリーの復旧を目指し続けているものの、プログレスからのデータ受信不能に変化はなく、姿勢の安定にも至っていない。このためロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は、プログレスのISSへのドッキングを断念したと発表した。プログレスは2週間以内に大気圏に再突入する見込みという。

同補給機で運ぶ予定の物資はISSに届けられないが、現時点ではISSにじゅうぶんな物資があり、クルーの活動や「きぼう」日本実験棟を含めたISSの運用に支障はない。また、物資補給計画や、5月27日にISSに向かう予定の油井宇宙飛行士らの打ち上げ計画などへの影響については、今後のロシアによる原因究明の状況を踏まえ、国際調整により決定される。