プログレス打ち上げ失敗と今後の国際宇宙ステーション

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【2011年9月5日 ヨーロッパ宇宙機関

先月24日、国際宇宙ステーションに物資を運ぶために打ち上げられたロシアのプログレス44号輸送機が軌道に到達せず、打ち上げに失敗した。この影響で宇宙飛行士の帰還の日程など、今後の国際宇宙ステーションの運行に様々なシナリオを検討する必要が出てきた。


プログレス44号機を積んだソユーズUロケット

プログレス44号機を積んだソユーズUロケット打ち上げ時の様子。クリックで拡大(提供:ESA)

プログレス44号機の進路

打ち上げ後のプログレス44号機の進路。今回は図の6番、第3段のスカート切り離し後にエンジンが停止した。クリックで拡大(提供:ESA)

国際宇宙ステーションの写真

今後の運用に付いて様々なシナリオが検討されている国際宇宙ステーションの写真(提供:ESA/NASA)

プログレス44号輸送機は2,670kgの荷物を積み、8月24日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられた。予定通り第1段、第2段を切り離した()が、打ち上げから325秒後、第3段のエンジンが予定よりも早く停止したため、目的の軌道に到達できず、地上へと落下した。

第3段とプログレスの残骸は南シベリアにあるアルタイ共和国の上空200kmから落下した。破片の捜索は現在も行われているが、シベリアという厳しい環境もあり、まだ何も見つかっていない。大気中で燃え尽きてしまった可能性もある。

この事故を受け、原因が究明できるまでソユーズの打ち上げは延期することが既に発表されている。

今のところ物資にも余裕はあり、ISSの運用に問題は発生していない。しかし9月8日に予定されていた第28次長期滞在クルー3名の帰還は9月16日に延期された。当初の予定では次の宇宙飛行士の打ち上げまでに2回の無人輸送機の打ち上げが計画されていたが、今回の事故を受け、次回の宇宙飛行士の打ち上げは10月末から11月頭へと当面延期された。

さらに、古川聡さんらISSに滞在中の宇宙飛行士による運用にも様々なシナリオを検討する必要が出てきた。

今回の事故はプログレスにとって、1978年の1号機打ち上げ以来、初めての事故であった。これまでソユーズUロケットは745回のうち724回打ち上げに成功しており、プログレス輸送機も136回このソユーズUで打ち上げられてきた。

ソユーズUロケットはプログレス輸送機の打ち上げだけでなく、人工衛星や科学目的の探査機の打ち上げにも使われている。原因の究明と運用の再開がすみやかに行われることを願いたい。

注:「多段式ロケット」 ロケットの大部分は打ち上げ時のための燃料を入れるスペースとなっており、多くのロケットでは、打ち上げ後に燃料を使い果たした部分から順に切り離すことで重量を軽くして効率を良くする「多段式」が取り入れられている。打ち上げの際に下になっている方から1段目、2段目と数え、この順に切り離される。

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